お知らせ
ニュース
ナラ枯れ被害発生(緊急:状況報告)
上賀茂試験地で生育していたローレルガシ(英名:Laurel Oak 学名:Quercus laurifolia Michx)5本が
2006年8月にカシノナガキクイムシによると思われるナラ枯れにより枯死しているのが確認されま
した。ローレルガシは北米東部に分布とする半常緑高木で、1955年アメリカのフィラ
デルフィア(ペンシルバニア大学モリス植物園)より種子を譲り受け播種を行い、1958年に現在の場所に植栽したものです。約50年生育してきたローレルガシは一番大きいもので胸高直径70p樹高20mに
達しています。
上賀茂試験地では
(1)ナラ枯れ伝搬阻止
(2)貴重な外国産見本樹の保護
を最優先重要課題として対策を行っていきます。今後いろいろな調査・研究及び防除が
行われますが、まず第一報として外国産のローレルガシがナラ枯れにより枯死した
ことをお知らせいたします。
ローレルガシのナラ枯れの様子(写真にカーソルを置くと説明文が表示されます)
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経過報告
9月4日にローレルガシのうち1本を試しに伐倒・玉切りしました。二井先生(農学研
究科微生物環境制御学研究室)と山崎先生(農学研究科森林生物学研究室)には研究室
の学生諸君を率いて調査も兼ねて来て頂きました。また、本部地区からは2名、芦生研
究林からは4名の技術職員が状況を視察しました。
伐倒後少しすると、切断面から幼虫や成虫が出てきました。カシノナガキクイムシ
とヨシブエナガキクイムシ(京都府林試の小林正秀技官に確認済み)と確認されました。
その後も次々に出て来ています。アリがせっせと虫(特に幼虫)を持って行っていま
す。細かくして放置すれば、かなり有効な防除対策になりそうです。また、ローレル
ガシの他にアメリカガシワ2本とコナラ1本にも被害があることが判明しました。京都
大阪森林管理事務所にも連絡し、京都市内のナラ枯れ被害情報を交換しました。ま
た、日本植物園協会に連絡をして外国産のブナ科樹木が被害にあったことを伝え、注
意を喚起して頂くようにお願いしました。
防除のための伐倒処理は早いほうが効果的と考え、9月11日および9月25日に伐倒を
行う予定です。
具体的な防除法としては、被害木の(1)枝部分はチッパーで粉砕する。(2)幹部分は
50cm毎に玉切ってビニール袋に封入する。また折角密閉するなら出てくる虫の数が数
えられるだろうと考え、色々な防除法を検討しようと試料に(1)コールタール皮膜、
(2) クレオソート塗布・浸潤、(3)燻蒸剤投入等。(4)その他(チェーンソーで切れる
範囲で板にして封入等)を考えています。
ローレルガシの伐倒の様子(写真にカーソルを置くと説明文が表示されます)
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経過報告(駆除完了)
9月4日からナラ枯れ被害木の伐倒を行い10月6日で防除が完了しました。
防除は、枝部分をチッパーで粉砕し、また幹部分は適度な大きさに玉切り
厚手のナイロン袋に入れ密封し、伐根については密封後燻蒸処理を行いました。
また、被害木近くのブナ科の生存木について、幹部をナイロン袋で被覆しました。
これによってナラ枯れの伝搬が阻止されると思われます。
ナイロン袋に入れた被害木については色々な処理試験【
(1)コールタール皮膜、(2) クレオソート塗布・浸潤、(3)燻蒸剤投入、
(4)チッパーで粉砕処理(5)無処理等。】を行いました。今後、効率的で有効な防除法を検討していきます。
ナラ枯れ被害木の駆除の様子(写真にカーソルを置くと説明文が表示されます)
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上賀茂試験地利用について(入林方法のお知らせ)
上賀茂試験地ではニホンジカ害の対策として、現在、可能な限り全周囲への獣害防除ネットの敷設を行っております。これまで、防除ネットは主に山林部への敷設を行って来ましたが、試験地入り口門周辺にも敷設を行うことになりました。防除ネットの敷設により試験地への入林は門からしか出来なくなります。旧来、門のわきや宿舎近辺から出入りが可能でしたが、今後は門からの入林をお願いいたします。
なお、開門は平日の8時30分〜17時30分ですが、開門の時間外での入林を希望される場合は、その旨試験地事務所まで申し出下さい。鍵の貸し出しを行います。
ご不便をおかけしますが、何卒ご了承下さい。