舞鶴水産実験所に在籍していた福西悠一君が、第57回日本生態学会東京大会において、ポスター発表の優秀賞を受賞した。受賞対象となった研究は「初期生活史の異なるクサフグとトラフグにおける紫外線耐性の個体発生と種差」で、
著者は福西悠一・益田玲爾・山下洋である。3名以上の審査員による審査の結果、内容と発表技術がともに優れているとの評価を得た。同研究のエントリーした動物生活史分野では、18名の候補者のうち4名が選出された。
魚類の適応進化の分野では、水温や塩分に対する適応についての知見は多いが、紫外線に着目した研究は稀である。本研究では、波打ち際で産卵を行うクサフグの仔魚は、深場で産卵を行うトラフグの仔魚よりも紫外線耐性が高く、かつ頭部や腹部の黒色素胞が発達していることが示された。近縁の魚種間でも紫外線の耐性は異なることから、オゾン層の破壊による紫外線の増加は魚種の組成の変化をもたらす可能性が示唆された。
フィールド研所属大学院生の第1期生である福西君は、2010年3月に学位を取得した。現在はノルウェーのInstitute of Marine Researchにおいて、ポスドクとして引き続き紫外線の研究に励んでいる。
文責:益田 玲爾
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