少人数セミナー「原生的な森林の働き」 2004年8月6日(金)〜 8月9日(月)

講師:フィールド科学教育研究センター 森林環境情報学分野 中島 皇


 今年度は5月、6月にそれぞれ1回ずつ北部キャンパスで講義を行い、8月に芦生研究林で3泊4日の集中講義(合宿形式)セミナーを行った。参加者は6名(男4、女2)(学部別:文2、経済1、理1、農2)であった。セミナーの目的は、シラバスにもあるようにフレッシュな新入生諸君にフィールド研究入門の前段階として、自然と人間の関わり方に興味を持ってもらうことである。

 5月27日(木) 5限目。初回は、フィールド科学教育研究センターの大会議室でガイダンス。このゼミの内容と今後の予定及び各自の自己紹介を行った。

 6月24日(木) 15:00に総合博物館集合。フィールド科学教育研究センターの企画展を見学し、フィールド研究のエッセンスを概観した。数多くの実物が展示されてあり、参加者はそれぞれの内容に興味を持ったようである。16:00から北部キャンパスで芦生研究林の概要と森林の働きについてのセミナーを行った。また、8月の集中ゼミの献立、買い出し等の段取りを話し合った。

 8月6日(金) 自転車組(2名)は7時過ぎに出発。本隊は出町柳駅前10:00発の京都バス広河原行き。9時半頃、研究室の電話が鳴る。自転車組の一人が花脊峠からかけてきた。「一人が遅いので先に行ってもいいか。」「???。」昨年に続いてのトラブルか。同じ道を芦生へ向かうので何とかなるだろうと出発する。芦生に到着すると自転車組は無事到着していて、12時半過ぎには全員が揃った。昼食の後、由良川本流沿いのトロッコ道で、芦生の標高の低い地域の代表的な樹木と川沿いの植生や地形を見学した。アシウスギの巨大な台杉には驚いたようであった。このセミナーでの食事はすべて自炊である。買い出してきた食材を使ってキムチ鍋が出来上がった。夜は、芦生研究林が抱える問題点や環境・自然保護の話を聞き、真剣に話合っていた。

 8月7日(土) 朝、昼食のおむすびを作って出発。内杉谷林道を山に上がる。途中、幽仙谷集水域天然林研究区で大面積・長期プロットと暖温帯と冷温帯の境界について説明があった。パラパラときたが、杉尾峠からは雨が降ることはなかった。由良川最源流・最初の一滴を見つめる。歩道はぬかるんでいる所も多かったが、薄日のさす原生的な雰囲気を持つ森を楽しみ、実感しているようであった。この日は芦生の標高の高い地域の代表的な樹木や植生と準平原状の地形を時間をかけて見学した。長治谷からは量水堰、大桂、二次林と人工林を観察しながら、途中で湧き水を飲んで事務所に戻った。カレーの夕食後、翌日のアンケート調査について説明を受け、準備を行う。

 8月8日(日) 朝から事務所構内の入り口にテントを立てて、椅子と机と調査用の七つ道具を用意した。午前9時からアンケート調査を開始。天気はまずまずである。3人ずつで2班制、午前と午後1度ずつ交替した。午後4時までに47名の協力が得られた。夜は打ち上げ。ゴロゴロと「丹波太郎」のお出ましか。すぐ逃げ込めるように、場所をクラブ横に変更してバーベキューが始まった。幸い、遠雷で済んで、会は夜遅くまで盛り上がった。炭で焼いた肉は格別だったようである。

 8月9日(月) 最終日は調査データの整理・解析の実習。自分たちの取ったアンケートをまとめる作業である。調査方法も含めて初めて経験することなので戸惑いも見られたが、アンケート調査の難しさ、入林者には様々な人がいることを調査中の対話を通して感じとったようだ。レポート作成と宿舎・食堂の片付け、感想文とフィールド科学教育研究センターからのアンケートを書いてセミナーは終了となった。

 追記:このポケゼミ受講生のメンバーは今(2回生)だに集まって飲み会をしているそうである。  




− 実 習 の 様 子 −

由良川本流の大きな台杉 トロッコ(森林軌道)
下谷の大桂 アンケート調査
食事の準備 調査結果の集計作業