少人数セミナー「節足動物学入門」 2005年5月13日―9月16日

講師:フィールド科学教育研究センター 海洋生進化形態学分野 講師 宮崎 勝己



日程
5月13日(金)      :オリエンテーション(於 フィールド科学教育研究センター小会議室)
6月23日(木)      :講 義      (於 フィールド科学教育研究センター小会議室)
9月12日(月)〜16日(金):実 習      (於 フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所)

 少人数セミナー「節足動物学入門」は、上記の日程で講義と実習を組み合わせる形で行った。オリエンテーションでは、セミナーの概要説明、自己紹介、今後の日程調整を行った後、ある英語の教科書から、節足動物の特徴をまとめた部分を抜き出したものを配布し、その和訳を宿題として課した。講義では、節足動物の生物学についての概説をパワーポイントを用いて行ったほか、宿題を回収した。宿題については、後日模範解答と共に、実習参考資料に同封して、各受講生に返送した。
 実習では初日の実習オリエンテーションと所内見学に引き続き、二日目午前中は実験所構内で捕虫網を使った採集と見つけ採り採集による節足動物の採集を、午後中は土壌サンプルの採取と簡易ツルグレン装置を使った動物の抽出とを行った。三日目は、午前中は実験所周辺の海岸から打ち上げ海藻と砂を採取し、そこから洗い出し法による動物の抽出を行った。午後は、これまでに採集したサンプルから節足動物をソーティングした上で、同定作業を行った。四日目の午前中は、実験所周辺の番所崎を一周しての磯採集を行い、午後は引き続き同定作業と、同定結果の整理を行った。最終五日目は、今回の同定結果から節足動物の主要群とその生息環境との関連についてまとめさせ、節足動物の進化に関する推論を試みさせる内容でレポートを提出させ、後片付け・掃除を行った後、解散とした。
 今回の参加者は三名、学部も理・工・経済とバラバラで、しかも皆第二希望で流れてきたとのことであったが、いずれも興味を持って受講してくれた。特に実習における採集では、皆童心に帰ったように楽しんでやっていた。海産節足動物については、期待していたほどには種類が採れなかったが、陸産節足動物、特に土壌から抽出した節足動物は思いの外多く、実験所構内の生物相の豊かさを改めて実感した。
 今回は自分自身初めてのポケゼミということで、実際やってみると数々の不具合も出てきて、何かともたついたり、必ずしも当初の意図通りには出来なかった部分もあった。また受講生間の親睦を図る意図で、実習中の食事は全て自炊としたが、これはかかる負担のデメリットの方が大きかったように思う。これらの反省点は次回以降に生かすことにして、一番最初の不安定な状態の実習に参加し、最後まで付き合ってくれた今回の受講生たちには感謝したいと思う。


− 実 習 の 様 子 −

実験所北側の砂浜での砂の採取 番所崎での磯採集
番所崎での打ち上げ海藻の採取 砂や海藻から洗い出しで生物を抽出する
ディスクランプや漏斗などを利用した
簡易ツルグレン装置による生物の抽出
ハードな(?)実習に疲れて一休み