少人数セミナー「海洋生物の多様性」 2005年7月29日―8月 1日

講師:フィールド科学教育研究センター 海洋生物多様性保全学分野 教授 白山 義久


 ポケゼミ「海洋生物の多様性」は、講義と実習を組み合わせたポケゼミである。講義はフィールド研小会議室において、6回実施し、海洋生物学の基礎となる海洋学の知識と海洋生物に関する基本的事項についての解説を行った。この学習の成果をもって、実際の海洋生物を観察する実習を、7月29日から8月1日まで3泊4日の日程で、瀬戸臨海実験所において実施した。実習内容としては、1.アオリイカとマダコの解剖、2.ドレッジによるメイオベントスの採集と観察、3.スキンダイビングによるメガベントスの目視観察、4.古座川水系の水質分析の4項目を実施した。さらに実習の内容に予定はしていなかったが、ちょうど29日の夜に飼育していた珊瑚が産卵をしたため、参加者全員で、神秘の瞬間を観察することができた。
 本実習の参加者は、3名(理学部2名、農学部1名)にとどまった。昨年度18名と人数が多すぎたため、今年度はレポート課題を科したことが主たる要因らしい。3名はいささか少なすぎるので、来年度は参加者の選抜方法に工夫を加えたい。
 本実習は、7月19日に協定書を調印したNPO法人エコロジーカフェ(エコカフェ)との初の協力事業という位置づけでもあり、会員のべ17名が参加した。具体的には、上記実習内容2と4は、エコカフェの会員も一緒に現場と実験室の作業を行った。
 また、実習時間外のアクティビティも多数行い、そのなかでも学生とエコカフェ会員とは、充実した交流をした。特に一日目の夜のBBQと二日目夜の花火大会の鑑賞において、エコカフェの方々(社会人)と学生との交流は、どちらにとっても有意義なものとなったようである。
 学生にはやはり実習の方が講義よりインパクトが強いことがわかったので、来年度からは、実習中心に内容を改めて実施したいと考えている。また、エコカフェとの連携は、学生にとってもよい機会となったので、今後も続けていきたい。
 エコカフェにとっては、会員が本当の自然に触れる機会を得たことに満足感があったようである。特に古座川水系の観察とメイオベントスの観察はどちらも普通にはできないものだったため、貴重な体験となり、今後も実習に継続して参加したい意向である。


− 実 習 の 様 子 −

初日に行ったBBQ 二日目 全員でヤンチナに乗船しドレッジに向かう
採集したメイオベントスの観察 三日目 古座川に移動する途中で潮岬灯台を見学
小川上流滝の拝にて、採水ならびに水中生物の観察