平成19年度 リレー講義 「水圏生物学入門」  報告



講師:フィールド科学教育研究センター基礎海洋生物学部門
海洋生物進化形態学分野 講師 宮崎 勝己



 前年度に引き続き,全学共通科目として「水圏生物学入門」を,前期(木曜・4限)に提供した。
 担当講師は全員,前年度から引き続きで,地球の水圏,すなわち「水の世界」に生息する様々な生き物たちの特徴とその営み,そして地球環境との関連について,それぞれの観点から解説・論究を行った。全員二年目ということで,担当の各講師の講義内容も更に洗練され,受講生の満足度の高さも前年度に引き続き高かったことが,レポートの内容からもうかがえるが,今年度新たに二点の問題点が生じた。
 一点目は教室の容量の問題で,当初あてがわれた教室の定員125名に対し,第1回目に300名近い学生が聴講に訪れ,教室の通路どころか廊下にさえ収まりきれない状況となってしまった。吉田南構内最大の教室は既に他講義でおさえられていたため,使用可能な教室のうち最大のものに変更したが,それでも教室定員254名に対し,最終的な受講者数は431名に達し,毎回イスに座りきれない学生が,通路で講義を受ける事態となってしまった。次年度からは,最大教室(定員376名)以外での開講は不可という旨,担当部局に伝えると共に,受講希望者数の規模によっては受講制限をかけることで,対応を考えている。
 もう一点目は,不正レポート疑惑である。全ての先生方が,講義の最後でレポートを書かせ,それを回収して出席確認にもあてていたが,ある先生から字体・文面が酷似した複数組のレポートを発見した旨の報告を受けた。レポート用紙配布の際に複数枚確保した学生が,欠席者の分まで作成・提出したという疑いが極めて強かったが,今回に関しては,受講生全員に疑惑の内容と,同じような状況が引き続き起こった際には強い措置に出る旨の警告をメールで流し,またレポート用紙についても,一人一枚ずつ厳密に配布するという処置を行ったところ,とりあえず以降の疑惑レポートは見出されなくなった。

本年度は,以下の順番・題名で講義を行った。(各講師の所属・役職はいずれも当時のもの)
(1)「水圏生物学入門オリエンテーション」宮ア勝己(フィールド研・瀬戸臨海実験所・講師)
(2)「深海の生物学」白山義久(フィールド研・瀬戸臨海実験所・教授)
(3)「渚の自然史」加藤 真(人間・環境学研究科・教授)
(4)「ミクロ生態系の大きな働き−フィールドで探る,地球規模で探る」永田 俊(生態学研究センター・教授)
(5)「海産生物の生き残り機構」山下 洋(フィールド研・舞鶴水産実験所・教授)
(6)「クラゲの生物学」久保田信(フィールド研・瀬戸臨海実験所・准教授)
(7)「魚の初期生活史:小さな卵から大きな体へ」田川正朋(フィールド研・河口域生態学分野・准教授)
(8)「潜水調査の可能性と限界」益田玲爾(フィールド研・舞鶴水産実験所・准教授)
(9)「水圏の植物学:磯焼けと藻場造成について」鰺坂哲朗(農学研究科・助教)
(10)「川と海を移動するエビ類の生物学」大和茂之(フィールド研・瀬戸臨海実験所・助教)
(11)「サンゴの生物学」深見裕伸(フィールド研・瀬戸臨海実験所・助教)
(12)「日本海と太平洋:生物の分布と環境」上野正博(フィールド研・舞鶴水産実験所・助教)
(13)「ウミグモの生物学/水圏生物学入門総括」宮ア勝己(フィールド研・瀬戸臨海実験所・講師)