平成19年度 少人数セミナー 「フィールド実習“森は海の恋人”」  報告



講師:フィールド科学教育研究センター基礎海洋生物学部門
海洋生物多様性保全学分野 教授 白山 義久



 「海域・陸域統合管理論」は,リレー講義形式により,平成19年10月5日から平成20年1月11日まで13回,吉田南総合館共北27号室(金曜日3限目13:00〜14:30)において開講された。対象は,文系,理系を問わず1回生以上のすべての学年とした。講師,内容は以下の通りである。
 2007年度フィールド実習「森は海の恋人」を,8月19日から23日まで(移動日を含む)宮城県本吉郡唐桑町にある水山養殖場において実施した。宿泊には,民宿「なぎさ」を利用した。
 参加者は定員一杯の7名(文学部1医学部1工学部2農学部2)であった。講師として,畠山重篤氏(京都大学フィールド科学教育研究センター社会連携教授・水山養殖場)とそのご子息の畠山 信氏,並びに横浜 康継氏(南三陸町(志津川町)自然環境活用センター所長・筑波大学名誉教授)の参加を得た。また前年同様気仙沼高校の高橋 誠子氏(気仙沼高校 教諭)と斉藤 繁氏(気仙沼高校 教諭)および気仙沼高校 自然科学部生徒2名も参加した。またフィールド研からは白山の他に,大学院学生の鈴木 豪が参加した。
 8月20日にはNaGISAプロトコルにもとづく岩礁域のフィールド調査を実施した。サンプリングを終了後は,サンプル処理として海藻サンプルの分類・同定・重量測定,1mmのフルイでのマクロベントスサンプルの解析(分類・同定・計数)と0.063mmフルイを用いたメイオベントスサンプルの作成を行った。
 8月21日はまず早朝に気仙沼漁港を見学し,その後水山養殖場の養殖いかだから,もっとも岩礁性生物の多様性が高い養殖カキのサンプルを採集した。その後,サンプル処理として,1mmのフルイでのマクロベントスサンプルを作成した。昼食後は,海草も場のマクロベントスを,ドレッジを用いて採集した。また夜は,横浜康継教授による,海藻類の分類・同定・標本作成法の講義と実習を受講した。
 8月22日は,畠山重篤氏による森里海の連環に関する講義受講後,畠山氏の案内で気仙沼湾・大川水系を見学したが,悪天候のため十分な見学はできなかった。午後はそのために,野外実習ではなく,シャーク博物館・津波博物館の見学を行った。
 学生には,初体験のことが多く,森里海の連環について強い印象を持ったものと考えられた。また,高校生との触れあいもあり,その他にも地元の様々な方の歓迎も受けて,充実した3日間を過ごすことができたものと評価している。