平成19年度 全学共通科目(リレー講義)「海域・陸域統合管理論」  報告



講師:フィールド科学教育研究センター基礎海洋生物学部門
海洋生物多様性保全学分野 教授 白山 義久



 「海域・陸域統合管理論」は,リレー講義形式により,平成19年10月5日から平成20年1月11日まで13回,吉田南総合館共北27号室(金曜日3限目13:00〜14:30)において開講された。対象は,文系,理系を問わず1回生以上のすべての学年とした。講師,内容は以下の通りである。
 (1)     10/5   イントロダクション ― 白山義久(フィールド研教授)
 (2)(3) 10/12,10/19 沿岸海洋学の基礎 ― 白山義久(フィールド研教授)
 (4)(5) 10/26, 11/2 河川管理と沿岸海洋との連環 ― 萱場祐一((独)土木研究所自然共生研究センター長)
 (6)(7) 11/9, 11/16 森里と沿岸海洋との連環 ― 西村和雄(フィールド研講師)
 (8)(9) 11/30, 12/7 森里海の持続的な経済マネジメントシステム
             ― 有路昌彦(アミタ株式会社持続可能経済研究所・主席研究員)
(10)(11) 12/14, 12/21 沿岸管理と法律 ― 磯崎博司(明治学院大学・教授)
(12)(13) 12/26, 1/11 統合的沿岸環境管理論 ― 松田治(広島大学・名誉教授)
 受講者の人数は73名と昨年よりも残念ながら減少した。受講者の学部の分布状況を見ると,理科系は31名(農学部,理学部,工学部,医学部,総合人間学部),文科系は42名(経済学部,文学部,法学部,教育学部)であり,むしろ文科系学部生の関心の高さが顕著であった。とくに,経済学部の学生が29名を占めて学部別ではトップであり,講義がめざす「将来の経済界を支える学生に統合管理の基礎知識を修得させる」という目標が達成されつつあるといえよう。一方,理科系では農学部が圧倒的多数を占めており,他学部へのさらなる浸透の努力が必要であると考えられた。学年の分布を見ると,1回生が47名,2回生以上が25名となっており,森里海連環学に比べて高学年の学生が多い。
 登録した73名のうち,合格して単位を得たものは51名と比較的高い合格率70%であった。このことは,講義の内容が充実していて,学生に継続して興味を持たせることができたものと評価できる。また今年度は大学コンソーシアム京都に本講義が開放され,本年は3名が受講して全員が単位を取得した。講義の最終回にアンケート形式で収集した結果をみると,「本講義により知的に刺激された」が91%,「内容をよく理解できた」が85%,「国土の環境管理に関する問題点が理解できた」が80%など,今回の講義に対する学生の評価は非常に高いものであった。