平成19年度 森里海連環学実習C 報告
(夏の北海道実習)

京都大学フィールド科学教育研究センター
吉岡崇仁・安藤 信・中山耕至・甲斐嘉晃
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
柴田英昭

 9月2日から8日に森里海連環学実習C が開催された。この実習は、京都大学フィールド科学教育研究センターの北海道研究林標茶区と北海道大学北方生物圏フィールド科学研究センターの厚岸臨海実験所を拠点とし、両大学の全学部生を対象としている。
 今回、実習は4名ずつの班構成とし、森林での毎木調査、土壌断面の観察、河川水質調査、河川生物調査、食性解析などの実習とこれらの基礎となる講義が行われた。内容が盛りだくさんであり、連日遅くまでレポート作成にかかっていた実習生も多かった。実習前の講義、現場での実習、実習後のデータ整理、レポート作成に加え、最終レポートとして、各班にそれぞれ「森」「川」「海」「里」という異なる場の観点にたって森里海の連環について考察することを課した。連環のレポートは、限られた時間しかなかったとはいえ、新鮮な感覚で実習中に得たデータと経験とをうまくまとめていたように思う。
 森林での実習では、樹木の同定に悩んだり、土壌断面観察のための穴掘りに実習であることを忘れて勤しむ姿が見られた。別寒辺牛川や厚岸湖での生物調査では、投網やカゴ網などでさまざまな種類の魚やエビなどが捕まるたびに歓声が上がり、スタッフも夢中になって話が弾んでいたのは、野外実習ならではのことであった。とくに、全長60cmに達する大きなカラフトマスの雄が捕まったときには、背が盛り上がったその特異な形態にみんなの目が釘付けになっていた。
 最終日には、関東・東北を縦断した台風9号が北海道に再上陸し、札幌や京都に帰る実習生・スタッフの足が心配されたが、影響はほとんどなかったようである。
 今年度は、この森里海連環学実習の基礎を作られた竹内教授(京大)、向井教授(北大)のお二人が定年退職されたあとでの開催であり、準備や期間中の実習の進行に困難もあったが、両施設のスタッフ、さらには向井先生のご参加も得て、無事終了することができた。ここに記してお礼申し上げる。



− 実 習 の 様 子 −

森林土壌の観察 別寒辺牛川支流(チャンベツ川)での水生生物採取