沿革

試験地事務所
試験地事務所気象観測露場
1931年に徳山町遠石の町有保安林36.2haを徳山町より寄付を受け、農学部砂防演習地として設置された。徳山海軍要港部からの要請により、1942年に徳山市笹葉ケ丘に換地移転(20.0ha)して農学部付属演習林の試験地となった。1966年に徳山市の都市計画に伴い、現在地に再度移転した。国道用地への所管換があり現在の面積は41.9haである。2003年に演習林、亜熱帯植物実験所、水産実験所(農学研究科)ならびに瀬戸臨海実験所(理学研究科)が統合され、フィールド科学教育研究センターが発足し、現在に至っている。旧試験地は周南緑地公園(西緑地)の「万葉の森」として市民の憩いの場となっている。

環境

※気象データは1981〜2010年までの30年間
徳山市街地の北側に連なる丘陵地にあり、地形は東西二つの尾根の間に南北方向の比較的緩い谷部があり、この凹地部分を除いて、全般的にかなり急傾斜地が多い。土壌は比較的深く、やや乾燥している。瀬戸内海式気候に属し、温暖であるが、降水量は比較的多い。冬の積雪は殆どないが、湿性の雪が降り積もることがある。早春と夏季は乾燥が著しい。

森林

天然生林 タブノキを主とする天然林 6林班
天然林(広葉樹)
本試験地面積の18.55haは天然生林であるが、都市近郊に位置しているため薪炭林として頻繁に人為的な撹乱を受けたことや、松食い虫の被害により天然生アカマツの大半が枯死した結果、照葉樹林へと遷移している。潜在植生は、タブノキ、シイ、カシ類、クロキなどの暖温帯常緑広葉樹林である。

スギ見本林 ヒノキ見本林
人工林(左:スギ 右:ヒノキ)
一方、20.55haは人工林で、所管換え以前からのスギ、ヒノキ造林地が11.82haあり、このうち60〜85年生のヒノキ林が2007年度に文化庁より「ふるさと文化財の森(檜皮)」(文化財のための備林)に指定された。その他には1970年代前半に造成したマツの生育試験林は松食い虫や台風により枯損し、消滅したため、広葉樹(ケヤキ、クヌギ、ウバメガシ等)を植栽している。 事務所入口から苗畑にかけての道路沿いには、見本園(林)として国内外の緑化樹種を植栽展示している。





徳山試験地林相図