森里海連環学実習C

2012年8月31日~9月6日、北海道研究林標茶区において、全学共通科目(1~4回生対象)森里海連環学実習C京大・北大合同実習(夏の北海道実習)を開講しました(京大10人、北大10人)。

森林資源管理学分野 教授 吉岡 崇仁

 平成24年度の森里海連環学実習Cは,京都大学フィールド研の北海道研究林標茶区と北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの厚岸臨海実験所を拠点として,8月31日から9月6日の日程で実施した。

8月31日 実習生集合,ガイダンス,安全教育,講義,樹木識別実習
9月 1日 天然林毎木調査,土壌調査,講義
9月 2日 パイロットフォレスト視察,牧草地土壌調査,水源域調査
9月 3日 別寒辺牛川の水生生物・水質調査,講義
9月 4日 厚岸湾および厚岸湖の水質・底質・水生生物調査,グループ発表準備
9月 5日 グループ発表,レポート作成
9月 6日 レポート提出,解散

 受講した実習生は,京都大学と北海道大学からそれぞれ10名,男子学生13名,女子学生7名の計20名であった。受講生5名ずつで「森」「川」「里」「海」の4つの班を構成した。男・女および京大・北大が混成する班になるようにした。教員・研究者及びTAは,京都大学からそれぞれ5名と2名,北海道大学から7名と2名である。京都大学フィールド研の技術職員6名,北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの技術職員2名の協力を仰いだ。
 北海道研究林標茶区での毎木調査では,天然生林の尾根と谷部にそれぞれ2つずつのプロットを各班がそれぞれ担当して,胸高直径5cm以上のすべての木の胸高直径と種類を記録した。また,プロット周辺において土壌断面を作成し,森林における土壌の形成過程,火山灰の堆積に関する実習を行った。尾根と谷部とで出現する樹木の種類,種数に大きな違いがみられた。また,研究林で実施している人工林での間伐施業地(写真左)と隣接地において国の事業として取り組まれてきたパイロットフォレストの視察を通して,林業に関する知見を得ることができたようである。
 水質調査では,14地点の河川水について,デジタル・パックテスト・マルチと携帯型イオンクロマトグラフィーを併用して分析の原理と実際の試料測定を実習した。水質と集水域の土地利用・被覆との関係は明確ではないものの,森と川の連環の一端を実習することができた。
 水生生物実習では,特別採捕の許可を得て,北海道研究林標茶区内の水源域と別寒辺牛川-厚岸湖・厚岸湾流域で実施した(写真右)。採取した魚類の消化管内要物の分析により,動物相が,海,湖,河川でどのように異なり,また,動物の餌資源が,海,湖,川起源から陸起源に移り変わる様子を把握し,森,人間活動(牧草地)と河川のつながりを解析した。