不死のベニクラゲについて New York Timesが紹介

海洋生物系統分類学分野 久保田 信

 「Can a Jellyfish Unlock the Secret of Immortality?」という記事が、New York Times の電子版(2012年11月28日)と日曜日版別冊Magazine 版(12月2日)に掲載されました。
 この記事は、取材したN.リッチ氏が2012年7月10~16日に日本に滞在した際にインタビューした内容をもとに作成されています。取材の舞台は和歌山県白浜町にある瀬戸臨海実験所とその周囲の名所である円月島、白砂の白良浜、黒潮洗う紀伊水道を望む絶景で知られる三段壁、見晴らしのよい平草原、そして1300年の歴史がある牟婁の湯などが紹介され、観光地巡りも兼ねているような内容構成となっていることから広く一般読者にも関心のもてる記事となっています。
 記事では、ベニクラゲの若返りについての世界初の発見の逸話とその後の研究の進展が紹介されるとともに、“生命の樹”の根元に存在するクラゲにこそ生命のミステリーが秘められているという私がこれまで主張してきている内容が紹介されました。また、私が進めてきた不死であるが華奢なベニクラゲの研究について、世界最多となる10回の若返り記録、一週間におよぶ若返り実験、そして研究成果を紹介するとともに、私の長年にわたる研究生活や研究姿勢、若い頃のこと、さらには私の現在の習慣となっている毎日の温泉通いやカラオケのことまでドキュメントされています。そして、「自然に満ち溢れた美しい星であり続けるよう生物とそれを住まわせている地球を愛すべく、賢くも愚かな人間は心の進化を起こさないと不死になってはならない」と述べた私の還暦の言葉も掲載されています。
 記事では、数々のエピソードを交えながらベニクラゲの飼育物語が紹介されているほか、若返り関連研究に従事する各国の研究者の研究も紹介されており、記事は不死の秘密に迫る読み応えのあるものとなっています。

ニュースレター29号 2013年2月 研究ノート

(参考)
記事掲載紹介ページ
 

New York Times 掲載ページ