実習報告2013「暖地性積雪地域における冬の自然環境」

2014年2月7~10日、芦生研究林標茶区において、全学共通科目「暖地性積雪地域における冬の自然環境」を実施しました(6人)。

報告

森林情報学分野 講師 中島 皇

 今年度の実習(全学共通科目の後期集中講義)は2014年2月7~10日に3泊4日の日程で行われた。テーマは「暖地性の積雪(山間)地域における冬の自然環境を体感する。雪氷調査法(入門)を習得し、水が態を変えた雪や氷について理解を深めその影響を考究する。特に人間をはじめとする生物への影響をフィールドで実感する。」(シラバス)である。
 今年度は耐震補強工事が年度末までずれ込んで、芦生研究林クラブ(宿泊施設)が使用できないために実施も危ぶまれたが、林長官舎をメインの実習場所として、募集人員を半減させて実施に漕ぎつけた。参加者は6名(文1(1)、経1、理1、医1(1)、工1(1)、農1:カッコは女子(内数))で冬の芦生実習としては初めての挑戦である。TAはかつてこの実習の受講経験がある農学研究科M1の女子学生2名と博士課程終了直前のD3の男子学生である。近年インフルエンザ等でキャンセルが多く出るようになったが、学生が弱くなっているのか?世の中が物騒になっているのか?困ったものである。今年も参加者に直前キャンセルがあり、なんとTAの1名までもがドタキャンである。
 今年は1月の積雪も適量でいい実習が望めるかと思いきや、強烈な節分寒波に見舞われた。2月4日の積雪41cmが翌5日には102cmと1日に60cm以上積もった。こうなるとフィールド実習で自由が利かなくなる。
 集中実習は例年のようにJRバス周山駅集合で始まった。芦生へは乗用車に分乗して途中の自然環境や人間の暮らしを確認しながら移動した。芦生の雪の多さに皆驚いている。昼食後、男女別で職員宿舎に4日間のねぐらを準備して、長靴とカンジキを装着して歩行訓練。宿舎周辺の積雪に着目した自然観察と雪の造形を写真に撮ってくるプログラムがスタートした。夕食後のセミナーでは足慣らしの間に各自が撮ってきた写真の発表会と研究員の研究紹介である。
 朝は握り飯を作って内杉谷林道の自然観察に出発した。今日は1日雪の上を歩く。林道脇に続くつららのカーテンが今年は盛大である。霜柱も林道の法頭に立派に成長していた。予想通り膝の上まで積もった雪に行く手を阻まれ、進めず。例年の1/10程の行程で断念した。霙混じりの吹雪という最悪のコンディションに震えながらスギ林の中で遅めの昼食をとって早々に退散した。ストーブにあたって復活し、夕食は文系班のカレーである。夜のセミナーは芦生研究林の概要説明とTAの研究紹介。
 3日目は天候も回復して、クラブ周辺で積雪調査実習と雪上で便利な移動手段であるスノーモービルの試乗に挑戦した。午前と午後で交替し、参加者はどちらも体験した。積雪調査は雪の量も十分。スノーモービルも技術職員の人達が準備してくれていたコースに降った雪も適度に沈んで、快適な乗り心地であった。
 最終日は班毎に積雪調査レポートを作成し、それを発表した。各自の感想文、アンケートそして宿舎の片付けと掃除を行った。昼食は前代未聞のカップ麺、確かに便利である。芦生研究林の車でJR山陰線の園部駅まで送ってもらって解散となった。今年は本当に初めての経験が多かった。TAはいつもと勝手が違う宿舎での実習をよく工夫してこなしてくれた。感謝したい。