「緑洋丸」お披露目式~舞鶴水産実験所に総長来たる~

里海生態保全学分野 鈴木 啓太


 2016年3月10日、山極壽一総長が教育研究船「緑洋丸」お披露目式に出席するため、舞鶴水産実験所に来られました。総長は学内外からの来賓とともに、施設の見学、「緑洋丸」の試乗、式典・祝宴に参加され、夕方には京都に帰られました。「緑洋丸」の世代交代については前号で詳しく紹介しましたので、今号では総長の様子を中心に「緑洋丸」お披露目式の模様をお伝えします。
 「緑洋丸」の試乗にあたり、最大の懸念材料は冬の日本海の天気でした。当日に向けて、実施許可を得たり、試運転に出掛けたり、船体を清掃したりして準備を進めましたが、天気ばかりはどうしようもありません。前日は試乗が実施されるかどうか来賓から問い合わせがくるほど予断を許さない気象状況でした。それでも、当日は風が少し弱まったため、辛くも「緑洋丸」を出航させることができました(写真1)。
 試乗では採水器による海水採取、プランクトンネットによる浮遊生物採集、底曳網による底生生物採集が実演されました。総長は興味津々の様子で、作業を間近に見ながら担当者に質問を繰り返していました(写真2)。実演が終わると、総長は操舵室に陣取り、船長が重圧を跳ね返して見事に着岸するのを見届けた後、下船しました。
 式典は益田玲爾実験所長が司会を務め、吉岡崇仁センター長の挨拶に始まり、多々見良三舞鶴市長からの祝電の披露、小南昭典ニシエフ小浜工場長への感謝状の贈呈へと続きました(写真3)。総長は乾杯前の挨拶として「緑洋丸」を活用したフィールド研究への期待を表明し、「今日は自分も海洋研究の道に進めば良かったと思った」との言葉が会場の笑いを誘いました。
 祝宴では、地元企業から提供された魚介類の味噌漬けや昆布じめ、地元の練製品を利用したおでんなどが振る舞われ、参加者は舞鶴の味覚を楽しみました。祝宴は山下洋副センター長の挨拶により閉会しましたが、総長はしばらく会場に残り、センター長および副センター長と意見交換を続けました。
 今回のお披露目式は学内外の関係者に舞鶴水産実験所の教育研究活動を理解していただく良い機会になりました。お越しくださった方々に感謝するとともに、準備や片付けに協力してくださった皆さまにお礼申し上げます。

ニュースレター39号 2016年07月