ポケゼミ報告2009「サンゴ礁生態学入門」

海洋生物進化形態学分野 深見 裕伸 助教


 ポケゼミ「サンゴ礁生態学入門」は,京都大学本学での講義1回(4月)と高知県の須崎市にある横浪林海実験所での4泊5日(9月13~17日)の野外実習で実施した。今年度から開始したため,参加者があるかどうか不安であったが,女子2名を含む定員一杯の6名(法学部1名,経済部1名,文学部1名,医学部1名,理学部2名)の参加があった。ただ,1名は体調不調により実習をキャンセルすることになったのが残念である。
 実習は,初日に高知駅にて集合し,買出しをした後,約1時間かけて車にて横浪林海実験所に到着した。この実験所は非常に辺鄙なところにあり,携帯電話もほとんど通じないことから,最初は学生達に不安も見られた。ただ,自然環境はすばらしく,さらに食事の用意を通して全員が打ち解けることができた。
 2日目から実際にウェットスーツを着て水中マスクとフィンをつけて海に入った。最初はなかなか泳ぐのが大変な学生も見られたが練習しているうちにすぐに上達した。しかも実験所前は,テーブルサンゴなど非常に多くのイシサンゴ類やそこに生息する熱帯魚が簡単に観察できるため,それらを見た学生達が感動しているのを見てうれしい気持ちになったものである。実習内容としては,イシサンゴの種類をある程度覚えてもらい,その多様性を知ってもらうことから始めた。さらに数種類のイシサンゴを採集し,その表面および内部にどれくらいの生物が生息しているのかを実際に観察することで,サンゴ群集がどれだけ生物にとって多様性を生み出しているのかを実感してもらった。
 全体的に大きな問題もなくポケゼミ自体は成功したといえる。ただ,今回は天候に恵まれたが,天候が悪くなったときに融通が利かないという問題点があり,今後の課題である。