リレー講義報告2017「森里海連環学I:森・里・海と人のつながり」

里海生態保全学分野 教授 山下 洋


 フィールド研所属の4名の講師が,森林生態系,地域振興,環境の価値と住民の意識,河川と沿岸域の水圏生態系の4分野について講義を分担する形式とした。
 4月14日から7月28日まで14回(7月28日はフィードバック),吉田南総合館共北28号室(金曜日4限目14:45~16:15)にて開講した。対象は,文系,理系を問わず1回生から4回生までとした。成績は出席および各回の講義の最後に実施する小テストの成績を総合して評価した。
 2016年度から全学共通教育のシステムが大きく改変され,その前年度まで例年60~90名程度の受講生であったものが,昨年度は28名に激減した。今年度は60名が受講し,また講義に参加した学生の多くは大変熱心であったことから,2016年度からの新制度が実を結び始めたのかもしれない。受講生の内訳は部学部,法学部,経済学部の文系が31名,理学部,薬学部,工学部,農学部の理系が27名,総合人間学部が3名であり,受講生はバランスよく文系と理系から受講していることがわかった。学年の分布を見ると,1回生が4割程度と従来(5-6割)よりも高学年の受講生が増えた。海に囲まれた森の国である日本は,森里海とそれらをつなぐ河川で特徴づけられる国土であり,持続的な我が国の未来のために環境や生態系の保全に興味を持ち,森から海までの複合した生態系と生態系サービスについて,自然科学と社会科学の両面から広い視野で学んで頂きたい。

実施した講義の構成
1. 4月14日 「森は海の恋人」と森里海連環学-畠山重篤氏を迎えて- (山下 洋)
2. 4月21日 森里海連環学の概要(沿岸域の重要性) (山下 洋)
3. 4月28日 川の生態系と (山下 洋)
4. 5月12日 里海と沿岸域生態系 (山下 洋)
5. 5月19日 日本の森林の特徴と現状 (德地 直子)
6. 5月26日 森林生態系の生態系サービスとこれからの森林 (德地 直子)
7. 6月2日 森林から川を通じた海への物質移動 (德地 直子)
8. 6月9日 日本の里域生態系と農業・農村 (清水 夏樹)
9. 6月16日 森里海の資源と産業振興 (清水 夏樹)
10. 6月23日 森里海の資源と暮らしの維持 (清水 夏樹)
12. 6月30日 環境の価値と生態系サービス (吉岡 崇仁)
12. 7月7日 人間自然相互作用 (吉岡 崇仁)
13. 7月14日 森林に関する社会調査事例 (吉岡 崇仁)
14. 7月21日 沿岸域に対する陸域の影響 (山下 洋)
15. 7月28日 フィードバック