ILASセミナー報告2019「甲殻類学入門」

ILASセミナー報告2019「貝類の不思議」

基礎海洋生物学分野 准教授 下村 通誉



 本セミナーは甲殻類の形態と多様性を理解することを目的として、5月3日(金)から5月6日(月)にかけて瀬戸臨海実験所を拠点として行った。特にレポートではどのような環境にどのような種が出現するのかに着目して議論を整理するように促した。履修生は理学部3名と農学部4名の合計7名であった。
 初日の5月3日は15時に瀬戸臨海実験所の実習室に集合して、研究棟の案内、実習日程と内容の説明、実習中の生活の注意点、地震による津波の恐れのある場合の避難経路についてガイダンスを行った。その後、実験所に併設する白浜水族館の展示とバックヤードの案内を行い、17時前に初日のメニューを終了した。
 5月4日は9時から40分間ほどの講義「節足動物と甲殻類の分類・系統」を行い、節足動物門内での甲殻類の位置づけや主要な群(三葉虫類、昆虫類、鋏脚類、多足類)との関係について理解を深めた。また、現生の甲殻類の主要な分類群について解説を行った。その後、実験所周辺の番所崎の磯(岩礁海岸)で甲殻類の採集を午前中一杯行い、午後から採集した甲殻類の同定作業を各自で行った。同定作業は18時前に終了した。イソクズガニ、イソスジエビ、イソカニダマシなどが採集できた。
 5月5日は9時からやや内湾で岩礁と干潟の混ざる鳥ノ巣海岸で甲殻類の採集を行った。その後、10時40分に河口干潟の内之浦に移動し、甲殻類の採集を行った。鳥ノ巣ではオウギガニ、ケフサイソガニなどが採集できた。内之浦ではヤマトオサガニやチゴガニなど干潟に巣穴を掘って生活するカニ類が観察できた。フィールド調査を通じて環境の違いによって出現する種が異なることを肌で感じられたようである。午後は15時半まで午前中に採集した甲殻類の同定を行い、その後19時までフナムシの解剖を行った。フナムシの解剖により甲殻類の基本的体制を理解できたものと思う。
 5月6日は9時に宿泊棟に集合して掃除、その後、実習室の掃除を全員で行った。10時からレポートの作成とアンケートの記入を行って、12時前に全日程を終了した。