ポケゼミ報告2009「河口域生態学入門」

講師:フィールド科学教育研究センター里域生態系部門
里海生態保全学分野 教授 山下 洋


受講生は工学部1名、農学部4名の計5名であった。2009年4月にガイダンスを兼ねた講義を行い、6月に2泊3日で舞鶴水産実験所において実習を実施した。講義では、フィールド研の紹介、河川・河口域の構造、通し回遊生物の生態、河口域における生物生産構造などを概説した。6月26日~28日に実習を行った。由良川の支流の中でも清流として有名な宮川の源流近くから由良川との合流点を経由して、由良川本流の河口である神崎まで、川の様子や流域の構造を観察し水質分析を行った。水質分析項目は、水温、塩分、電気伝導度、pH、アンモニア態窒素、硝酸態窒素である。しかしパックテストを使ったため、窒素は検出限界以下であった。宮川と本流の合流点(中流域)および河口の川側と海側において小型巻き網を用いた小型魚・幼稚魚採集調査を行った。中流では、ゴクラクハゼ、ヌマチチブ、ウキゴリ属、ウグイ、河口川側では、スズキ、ボラ、マハゼ、ヒイラギ、海側ではヒラメ、スズキ、ウグイ、マハゼ、ヒメハゼが採集された。フィールド調査の後、採取した環境データの分析や魚類の同定方法について実習した。また、夜には舞鶴水産実験所内で実験所所属の大学院生とともに、実習で採集した個体、水産実験所周辺などで採集された魚類などを材料に、夕食を作った。ここでも、魚のさばき方などを大学院生が指導した。実習参加者は、多様な観点から自然環境や魚類などの水圏生物に触れる機会を得ることができたのではないかと考えている。由良川では刺網によるアユ漁獲の解禁が7月1日であることも考慮し、実習を解禁以降に実施することも検討する必要がある。

- 実 習 の 様 子 -