京都大学東北復興支援学生ボランティア派遣

森林育成学分野 徳地 直子

 2011年3月の東日本大震災に対して、京都大学ではその年の9月から年に2回、それぞれ約1週間の学生ボランティアを派遣してきました。京都大学は東北に主たる拠点を持たないことから、気仙沼と縁の深いフィールド科学教育研究センター(フィールド研)にそのとりまとめの依頼があり、フィールド研が京都大学の学生ボランティア派遣に深く関わるようになりました。震災直後はまだがれきの残る中での活動であったために、主にがれき処理など労働ボランティアを行いました。その後、松本総長からの“京都大学学生らしいボランティアを”という希望があったことや、現地でハード面での復興が少しずつ行われたことから、ソフト面での活動に主体が移っていきました。第2回からの気仙沼高校の教育支援や、第4回以降に行われた被災された方や市役所での聞き取りなどが挙げられます。
 活動は、ボランティア応募申請書の作成にはじまり、活動内容はもとより、現地との交渉などすべて学生が自主的に行いました。学年や学部を限らずに募集するため、学生の構成は1回生から博士課程の学生まで幅広く、それぞれが抱える講義や研究活動も異なりますが、各自調整を行い、都合をつけて打ち合わせを重ねてきました。その活動に対して、気仙沼高校からは生徒の学習・生活へのモチベーションがあがったことや、各地での活動に対して多くの感謝の言葉をいただき、大変勇気づけられました。
 しかしながら、教員が23名、技術系・事務系職員約50名程度の小部局であるフィールド研がとりまとめを行うことは容易ではありませんでした。学生が主体的に計画して実施するとはいうものの、活動が円滑に進むように事前の現地調査を含むサポートや、実施期間にはバスによる移動の2日間を含めた約1週間、教員や技術職員、事務職員が引率を行うなど、負担はかなり大きいものでした。他部局への協力も呼びかけましたが、継続的な活動を行う余裕のある部局もなく、2014年3月の第6回の活動をもって、フィールド研が本活動の実施主体となることは終了しました。
 活動を振り返ると、ボランティア前には打ち合わせに参加できなかった学生が、ボランティア後には自ら再度被災地を訪れるなど、学生の意識は大きく変わり、その成長には目を見張りました。また、将来、責任ある立場を任されるであろう京都大学の学生にとって、被災地の現状に触れ、現場を知ることの大切さを知ったことは本当に貴重な体験であったと思います。
 のべ140名もの学生を温かく受け入れてくださった被災地の皆様に心から感謝し、その一日も早い復興を念じて、活動の終了としたいと思います。最後になりましたが、経費を支援してくださった京都大学、活動を支えてくださったフィールド研の教職員、農学研究科及び学内関係教職員の皆様に、お礼申し上げます。

(参考) 京都大学東北復興支援学生ボランティア

ニュースレター33号 2014年6月 社会連携ノート