ポケゼミ報告2015「海産無脊椎動物-分類群と形の多様性」

基礎海洋生物学分野 講師 宮﨑 勝己

 
 このポケゼミは、海産無脊椎動物の分類群と形態の多様性について、京都での2回の講義と、瀬戸臨海実験所における3泊4日の臨海実習での採集・観察という実体験を通じ理解を深めていくことを目的として行うものである。今年度は定員6名のところ7名の予備登録があり、全員を受け入れることとした。受講学生の内訳は、医学部3名、工学部3名、農学部1名で、男女比は6名:1名であった。
 2回の講義は、いずれもフィールド研会議室にて放課後の時間帯に行った。4月17日に行った第1回目の講義では、オリエンテーションとして各自の自己紹介の後、ポケゼミ全体の概要説明を行い、志望動機や連絡先などの記入と提出をさせた。また例年通り、ある英語の海洋生物学の教科書の一部を抜き出し、その和訳を宿題として課した。2回目の講義は5月12日に行い、海の動物の多様性に関する講義を行った後、実習に関する説明を行い、最後に前回課した宿題を回収した。
 実習は、海の日の祝日を利用した7月17から20日の3泊4日の日程で行う予定であったが、やや時期外れの台風接近による荒天と時化が予想されたため、早々に延期を決定した。台風自体は予報された進路から若干外れたものの、実習予定日の海況からは延期の判断は正しかったと言える。その後延期開催日の調整を行い、一時期2グループに分けてそれぞれ別の日程で実習を行わざるを得ない状況となったが、結局うまく調整がつき、8月24から27日に全員が集まれる日程が設定出来た。変更後の実習期間は、当初予定した期間よりも潮の条件が悪く、しかも再び沖合で発生した台風の影響が及び出してきたため、例年行っている実験所周辺の番所崎での磯採集とメイオベントスの採集は取りやめ、それに替えて、前年度も行った実験所海洋観測研究実習船ヤンチナの船着き場浮き桟橋での付着生物の採集と、今回初めての試みとなるウニの解剖観察を行った。これら以外のメニューとしては、解剖したウニのパーツを利用した走査電顕観察用の試料作成・観察・写真撮影を行った。最終日の午前中に宿泊棟及び実習室の片付けと掃除を行い、レポートの提出をもって終了・解散した。
 今回は台風接近により実習を延期し、延期開催した実習にも台風の影響が及んだことから、受講生には何かと迷惑をかけてしまったが、脱落者も出ず、ケガや病気といった大きなアクシデントも無く、無事終えられたことに正直ほっとしている。来年度からはILASセミナーの形式に移行するが、これまでとほぼ同じ日程で講義・実習を行う予定であるので、今回の反省を踏まえ、荒天時の対応についてあらかじめ方針を立てておくことで、想定外の天候・海況となった場合でもなるべく混乱が少なくなるようにしていきたい。