実習報告2015「暖地性積雪地域における冬の自然環境」

2016年2月5日~8日、芦生研究林標茶区において、全学共通科目「暖地性積雪地域における冬の自然環境」を実施しました(12人)。

報告

森林情報学分野 講師 中島 皇

 今年度の実習(全学共通科目の後期集中講義)は 2016年2月5~8日に3泊4日の日程で行われた。テーマは、「暖地性の積雪(山間)地域における冬の自然環境を体感する。雪氷調査法(入門)を習得し、水が態を変えた雪や氷について理解を深めその影響を考究する。特に人間をはじめとする生物への影響をフィールドで実感する。」(シラバス)である。
 この冬も雪が少なく心配した。これが温暖化の影響か?最大積雪深はそれ程小さい訳ではないが芦生の観測史上 1、2を争う少雪の冬だろう。節分寒波で少々降雪があったので何とか実習を行うことが出来た。定員15人に対して、参加者は11人(文 1、法 3(1)、理 4(1)、工 1、農 1、総人 1:カッコは女子(内数))と快適な実習が行える人数であるが、法学部の4回生が3人も参加するのは初めてである。TAはB2の時(3年前)にこの実習の受講経験がある森林科学専攻の大学院生3人M1(男 1、女 2)である。フィールド実習ではTAは不可欠で本実習でも夜のセミナーや自炊等の生活面への助言など大いに力を発揮してくれた。
 集中実習は例年のようにJRバス周山駅集合で始まった。芦生へは乗用車に分乗して、途中の自然環境や人間の暮らしを確認しながら移動した。昼食後、宿舎に4日間のねぐらを準備して、長靴とカンジキを装着して、残っている雪を捜しての歩行訓練。宿舎周辺の積雪に着目した自然観察と雪の造形を写真に撮ってくるプログラムがスタートした。夕食は1回生混成班のスパゲティ。夕食後のセミナーでは足慣らしの間に各自が撮ってきた写真の発表会と芦生研究林の概要説明である。
 2日目の朝は握り飯を作って内杉谷林道へ。今年は幽仙橋まで車で上がれそう(と言うことは雪の観察が十分に出来ないことになる。)なので、参加者を2班に分けてピストン輸送した。林道の幽仙橋より標高が高く、日陰になっている部分に積雪を求めて登って行きながら自然観察を行った。こんなケースはこれで2度目になる。20cm程の積雪で層を観察するのは難しい状況であったが、各班それぞれに積雪データを取ったようである。夕食は1回生 理学部班の鍋(きりたんぽ・チゲ)で温まった。夜のセミナーはTAの研究紹介。それぞれ異なったテーマの研究の紹介で刺激になったようだ。
 3日目は前日不十分ながらも積雪調査を済ませた(積雪が少ないのはどうにもならない。)ので、天気をうかがいながら、内杉林道の平坦な場所でスノーモービルの試乗に挑戦した。スノーモービルの構造と走る原理などの解説を受けた後、各自動かしてみた。途中からはみぞれ混じりの降雪が強くなってきたが、これも楽しみの一つと雪だるま好きの院生指導の下、大きな雪玉(ドロ玉と言った方が正しい)を林道を転がしながらクラブ(宿泊所)前まで連れて帰ってきた。大いに雪に触れて、最終的にはかまくらまで出来上がった。打ち上げは上回生班の夕食(すき焼き)で気分は豪華であった。
 最終日は班毎に積雪調査レポートの作成および発表。水生昆虫と木の葉のデッサン、各自の感想文、アンケートそして宿舎の片付けと掃除を行った。昨日とうってかわって春のような日差しの中、芦生研究林の車でJR山陰線の園部駅まで送ってもらって解散となった。少雪ながら今年度も無事に実習が出来たことに感謝したい。