瀬戸臨海実験所 実習「生物学実習Ⅱ[海洋生物学コース]」

2016年3月22~27日、瀬戸臨海実験所において、全学共通科目「生物学実習II[海洋生物学コース]」を実施しました(10人)。

報告

基礎海洋生物学分野 講師 宮﨑 勝己

 本年度は後期集中講義として、2016年3月22~27日の5泊6日で瀬戸臨海実験所を舞台に行った。なおこの実習は、例年公開臨海実習「海産無脊椎動物多様性実習」と同期間に設定し、合同で行っている。
 瀬戸臨海実験所がある南紀地方の海は、黒潮の影響と複雑な海洋地形が相まって、そこに生息する海洋生物の多様性は非常に高い。この実習は、その南紀の海に生息する海産無脊椎動物が示す分類群や形の多様性について理解を深め、海洋生物学の基礎を、実地を通して学ぶことを目的としている。本年度の実習では、畠島実験地での磯採集・内之浦干潟での干潟採集・田辺湾でのプランクトンネット採集・実験所北浜でのメイオベントス採集・みなべ町堺港漁港でのイセエビ刺し網漁獲物採集と様々な採集を実際に体験し、多種多様な海産無脊椎動物の観察と図鑑等を使った同定作業を行ったほか、「分類と系統」および「海の動物の多様性」に関する講義をそれぞれ行った。
 今回の参加者数は最終的に10人、公開臨海実習の参加者と合わせると19人となり、乗船や移動に関して問題が生じないぎりぎりの数となった。なお公開臨海実習での参加者のうち1人は、理学部との協定に基づく理学部特別聴講生として参加した。
 全学向けの実習ということで、今回も参加学生は1回生から4回生にばらつき、文系学部学生の参加もあったが、海産無脊椎動物の多様性の理解という目的の達成に関しては、公開臨海実習参加者も含めた受講生の反応や実習後のアンケートの内容を見る限り、ほぼ満足いく程度に実現出来た様子である。また受講生間の交流も、様々な形で盛んに行われた様子であった。
 なお本実習は全学共通科目全体の見直しに伴い、今回の名称・内容での実施は本年度限りとなる。次年度からは「森里海連環学実習 IV:沿岸域生態系に与える陸・川・人の影響」として、公開臨海実習「沿岸域生態系多様性実習」と合同で行う事となる。理学部特別聴講生の手続きに関する協定は科目名を変えて継続される。