白浜周辺海域の底生生物調査

2016年12月7日、瀬戸臨海実験所の研究船ヤンチナによる3年半に渡る底生生物調査がまとめられた論文が、実験所紀要『Publications of the Seto Marine Biological Laboratory』においてオンライン公開されました。

Okanishi,Masanori; Sentoku,Asuka; Fujimoto,Shinta; Jimi,Naoto; Nakayama,Ryo; Yamana,Yusuke; Yamauchi,Hiroki; Tanaka,Hayate; Kato,Tetsuya; Kashio,Sho; Uyeno,Daisuke; Yamamoto,Kohki; Miyazaki,Katsumi; Asakura,Akira. (2016)
Marine benthic community in Shirahama, southwestern Kii Peninsula, central Japan.
(紀伊半島白浜周辺海域の底生生物の生態系)
Publications of the Seto Marine Biological Laboratory 44: p.7-52.
オンライン公開

(紹介)
 本論文では,2012年10月から2016年6月にかけて,白浜周辺の潮下帯~陸棚域までの底生生物の調査を行いました.白浜では台風の影響に海況が大きく左右されるため,当日になるまで調査決行の判断が難しい日もあるのですが,台風がなるべく少ない初夏~初秋に調査日を設定することで,計50地点での調査を行いました.また,自分たちで底曳網を制作し,サンプルをより多く得られるようにするなどの工夫を凝らし,7門から75科,132種の底生動物を採集する事に成功しました.さらにその中には24種の白浜初記録種,2種の日本初記録種,6種の未記載種,5種の未記載種候補が含まれていました.これらの種は,今後,専門家によって報告がなされる予定です.また,88種の写真も掲載されており,今後の白浜の生物相調査の指針になると期待されます.(紹介執筆:岡西政典 2016-12-27 追加公開)

 この論文の共著者のうち、京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所関係者は、岡西 政典(茨城大学助教、2012/2015年 瀬戸臨海実験所研究員)、千徳 明日香(クイーンズランド大学(日本学術振興会海外特別研究員)、2013/2016年 瀬戸臨海実験所特定研究員(日本学術振興会))、藤本 心太(東北大学助教、2016年 理学研究科博士課程後期課程修了 瀬戸臨海実験所常駐)、中山 凌(理学研究科博士課程後期課程学生 瀬戸臨海実験所常駐)、山内 洋紀(技術職員)、加藤 哲哉(技術長)、山本 恒紀(技術職員)、宮﨑 勝己(新潟大学 教授、2016年6月まで 瀬戸臨海実験所 講師)、朝倉 彰(所長・教授)です。

(参考)
岡西先生ブログ「論文が出版されました」 (2016-12-08 / 2016-12-13 確認)
白浜水族館企画展 ドレッジ調査~白浜沖海底の生物相を探る (2016-07-28/11-06 開催)