瀬戸臨海実験所における博物館実習

基礎海洋生物学分野 講師 宮﨑 勝己

 瀬戸臨海実験所に併設された京都大学白浜水族館(博物館相当施設)では、以前より主に学外からの要望に応じて学芸員資格の取得に必要な「博物館実習」を随時実施していたが、2006年3月の教授会において「フィールド科学教育研究センター博物館実習生に関する申合せ」を制定し、年間1回・5日間・3人という上限を設け、繁忙期を避けた主に秋季に同実習を実施している。
 本年度の参加者は名城大学・龍谷大学・奈良女子大学からそれぞれ1 人ずつの計3人で、宮﨑を担当教員とし、水族館の飼育担当職員である加藤哲哉・原田桂太・山内洋紀の各技術職員の指導の下、2015年10月13~17日の5日間で開催した。実習項目は、開館準備・調餌および給餌・水槽掃除・餌生物および展示生物採集・収集生物同定、記録および分収・機械操作補助・濾過槽管理・クイズラリー更新と多岐にわたったが、これは例年とほぼ同様の内容である。また最終日には、水族館で定期的に行っている一般向け体験イベント「水族館の飼育体験」に指導側として参加させた。各参加者とも、それぞれの実習項目・課題に真剣に取り組み、無事実習を終える事が出来た。スケジュール的にはかなりハードではあったが、安全面や健康面には十分配慮し、厳しいながらも楽しく充実した5日間となった様子である。
 なお2016年度からは本実習とは別に、全学共通科目「博物館実習(館園実務)」を総合博物館・舞鶴水産実験所と合同で新規開講し、白浜水族館では本実習とほぼ同内容の実習を学内の学生向けに提供する。これらの実習を通し、白浜水族館の高等教育に対する役割と責任は益々増大することとなるが、実験所教職員が協力して更なる充実を図っていきたい。

年報13号