実習報告2016 「博物館実習(自然史)」

森林情報学分野 助教 嵜元 道徳


 この実習は、「博物館」に収集・保管されている自然史標本資料の機能を理解するために、動物園、植物園、水族館などで収集・管理されている自然史標本資料の取り扱いや利用法の状況などを見学する一方で、そこで行われている社会教育・研究活動を知ってもらおうとするものであり、5部局(理学研究科、農学研究科、博物館、野生生物研究センター、フィールド科学教育研究センター)の教員がリレー講義方式で計10回実施している。その中で、上賀茂試験地は、マツ属をはじめとする外国産針葉樹を多数植栽し植物園的な面を有していることから、「上賀茂試験地の見学実習」という内容で実習が行われている。平成28年度の上賀茂試験地における実習は、5月13日に、総合人間学部1名、理学部1名、農学部2名、理学研究科2名の出席の下、実施された。
 当日は、見学実習に先立ち、センターの概要、京都市周辺と上賀茂試験地内の森林の特徴、マツ属を主とした針葉樹の多様性と系統についての講義を行った。その後、見学実習となったが、博物館運営に関わっていく際には、各々の博物館が置かれている地域の自然史などの理解も必要となる場合が少なくないことから、試験地内にある二次林と樹木を観察する一方で、それらの特徴、京都盆地の地域性など自然史的側面について学んだ。また、植栽されているマツ科やヒノキ科などの多種多様な外国産針葉樹のコレクションを見学する一方で、多数植栽されている見本樹の維持管理や近縁種の維持の難しさなどについても学んだ。さらに、標本館に保存されているマツ属の球果や多くの針葉樹の材なども見学した。
 見学終了後にレポートを課したが、普段何気なく眺めている京都市周辺に広がる二次林の理解が深まったこと、多種多様な針葉樹コレクションへの驚き、多様な近縁種を維持管理していくことの難しさの認識、などが書かれていた。多少なりとも、実習は役立ったようである。