ポケゼミ報告2009「日本海に遊ぶ~日本海学入門」

沿岸資源管理学分野 上野 正博 助教


 今年度から始まった後期開講のポケットセミナーは,開講数が少ないためにいずこも応募者が殺到した。「日本海に遊ぶ」も定員10名に対して24名の応募があったため,各学部から均等に選抜した12名で開講した。 j.Podで開講した初回の授業では,日本海に関係するいろんな分野の本を準備し,学生たちに興味のある本を数冊ずつ選択させた。2回目の授業からは,学生たちが選んだ本をもとにプレゼンを30分行い,私が補足説明をする形で進めた。
 計6回の授業で学生たちが発表したテーマは

11月2日 日本海の環境変遷・日本海繁盛記
11月9日 日本海のおいたち・日本海の生物地理
11月16日 アイヌは原日本人か・日本列島の成立
11月30日 環日本海地域の植生・海を渡った縄文人
12月7日 日本海の古代文化・日本海と日本の天気
12月14日 日本海およびその周辺の岩石・日本海の漁業

と多岐にわたり,日本海を丸かじりしようという目論見はほぼ成功した。もっともほとんどの学生がパワーポイントを使ったプレゼンは初体験であり,読書感想文に近いものから,自ら資料を渉猟した中身の濃いものまで,出来不出来はかなりあった。
 2月22日から24日にかけては,舞鶴水産実験所で仕上げの実習を行った。22日に来所した学生たちは翌23日,実験所の緑洋丸に乗船し由良川河口沖から若狭湾沖までの海洋観測と桁網による生物採集を体験した。好天に恵まれ最初はにぎやかだった学生たちは,沖に向かうにつれて高くなってきた波に一人二人と倒れ,最後の観測点まで頑張ることができたのはわずか2名であった。まぁ,船酔いでくたばるのも良い経験と最低限のケアだけで放り出しておいたが,帰港後,手伝ってくれた院生たちに「一回生なんだから,もう少し優しくしてあげないと来年からは誰も来ませんよ」と叱られる羽目になった。
 夜は「日本海を食べよう」をテーマに大宴会。舞鶴水産実験所の花板をつとめる院生を中心に乗船補助をしなかった院生たちが,ブリ,ヒラメ,毛ガニ(ズワイガニは禁漁期),ナマコなどを刺身,酢の物,揚げ物,煮物,鍋などにしつらえてくれ,院生も交えて美味しく頂いた。船では床に転がっていた学生たちもすっかり元気回復して,日本海の海の幸を満喫した。
 最終日は前週までの調査が時化のために繰り越していて乗船する私に代わり,院生たちが学生たちを魚市場の見学に連れていき二泊三日の実習は無事終了となった。毎度のことではあるが,TAでなくても何くれとなく協力してくれる舞鶴水産実験所の院生諸君には深く感謝したい。