森里海連環学に関する意見交換会/勉強会

センター長/森林情報学分野教授 吉岡崇仁

 フィールド科学教育研究センターが,森里海連環学の構築を掲げてから13年が経過した。この機会に,改めてフィールド研全体で森里海連環学を見つめ直すために,森里海連環学に関するセンター所員の意見交換をする必要があるとの考えから,意見交換会/勉強会を開催することになった。以下に,平成28年度に実施した2回の実施状況をまとめた。
 第1回は,フィールド研会議室にて,10月12日(水)16:00~19:00に開催され,約40人が参加した。話題提供として,(1)木文化由良川プロジェクトの成果と森里海連環学(吉岡 崇仁),(2)国東半島プロジェクトの成果と森里海連環学(山下 洋),(3)教育ユニットにおける活動と森里海連環学(清水 夏樹)の3題が紹介された。
 第2回は,3月8日(水)15:00~18:00に開催され,計42人が参加した。話題提供は,(1)由良川・丹後海における森里海連環学研究(山下 洋),(2)ニホンウナギの活動量の季節変化と水温の関係(市川 光太郎),(3)森里海連環学について考えたこと(舘野 隆之輔),(4)ミャンマーの金採掘の現状(德地 直子),(5)研究提案(吉積 巳貴)の4題であった。
 2回の意見交換・勉強会において,総合討論の時間が持たれたが,森里海連環の捉え方が個々人で異なっている状況が続いていることなど,森里海連環学のフレームワークに関する質疑応答が多かった。討論を通して,森里海連環学には,文理融合,学際研究の視点が不可欠であるという意見は参加者間で共有できたが,具体的な研究の進め方については,暗中模索の段階であることが強く認識された。フィールド研から,魅力ある大型研究プロジェクトを申請し獲得するために,平成29年度以降もこの意見交換会/勉強会を継続することになった。
 折しも,平成30年度の科学研究費補助金においては,審査区分の大幅な改革が行われることになった。基盤AやSといった大型研究計画の場合,今までのような狭い専門分野の研究者によるピアレビューではなく,幅広い専門分野の研究者で構成される審査員グループで評価されることを考えると,森里海連環学の軸を分かりやすく示すことにも力を入れる必要がある。

年報14号