和歌山県白浜町において採集された本州初記録の熱帯性種リュウキュウナガウニ

2019年3月8日、熱帯性種リュウキュウナガウニが本州ではじめて発見されたことを報告する瀬戸臨海実験所の中野智之助教、河村真理子研究員、佐藤崇研究員(2018年5月末まで・現在は京大総合博物館研究員)による論文が、学術誌「日本ベントス学会誌」に掲載されました。

中野 智之,河村 真理子,佐藤 崇
和歌山県白浜町において採集された本州初記録の熱帯性種リュウキュウナガウニ
日本ベントス学会誌73: 109-117.

 本研究では、2016年の夏から2017年の夏にかけて白浜で採集された緑色の棘を持つナガウニ類が一体何の種であるかを、ミトコンドリアDNAのCOI遺伝子と骨片の形態に基づき調べました。このような緑色の棘を持つウニは、白浜でも普通に見られるホンナガウニか沖縄以南に分布するリュウキュウナガウニかの2つの可能性がありますが、研究の結果からこれらはリュウキュウナガウニである事が判明しました。リュウキュウナガウニが本州で発見されるのはこれが初めてです。
 2016年から2017年は黒潮が紀伊半島に接岸し、さらに海水温も高かったため、このような熱帯性の種の幼生が紀伊半島に到達し成長したと考えられますが、2018年の黒潮の離岸と水温低下でたまたま死滅しました。しかしながら、近年の温暖化により海水温が上昇しているため、このような熱帯性の種が定着し分布域を拡大する可能性が高くなってきたと言えるでしょう。 (中野智之)

 詳しくは、京都大学ページの研究成果発表「本州初記録の熱帯性種リュウキュウナガウニを発見 -温暖化により熱帯性種が分布域を拡大する可能性- 」、および 解説PDFファイル を参照下さい。