ILASセミナー報告2019「貝類の不思議」

基礎海洋生物学分野 助教 中野 智之



 2019年5月3日(金)から6日(月)にかけて、和歌山県白浜町にある瀬戸臨海実験所を拠点として、ILASセミナー「貝類の不思議」を行なった。このILASセミナーでは、日本人にとってなじみの深い貝類について、その多様性の高さや、生態、形態の美しさなどの理解を深める事を目的とした。受講生には、セミナー期間中に見つけた貝類を全てリストにして、最終日に提出してもらう事にしている。参加者は、教育学部1名、薬学部1名、農学部1名、工学部1名、法学部1名、理学部1名の合計6名が参加した。
 初日は、実験所に併設された白浜水族館において、動物門の説明や展示されている生き物の解説、バックヤードの見学を行なった。バックヤードから水族館を見学する機会はそれほど多くなく、参加者にとっては生き物の飼育や展示の工夫などを裏側から観察し、非常に興味深い体験だったようである。
 2日目は、実験所周辺の番所崎において、磯観察を行なった。バケツと磯がねを手に生き物を採集しながら番所崎を一周した。採集してきた生物は実習室に持ち帰り、図鑑を用いて名前や特徴を調べ、採集した生き物のリストを作成した。
 3日目は、車で串本町に移動し磯観察を行なった。串本は、白浜よりも黒潮の影響が強く、分布している種も異なるため、参加者たちは磯観察2日目でも楽しんでいたようである。長靴の中にまで海水が入ってしまう事を「水没」と表現しているが、この磯観察では全員がもれなく「水没」してしまった。様々な分類群の生物が採集でき、中にはシャコも入っていた。シャコの高速パンチに怯えながら、バケツに隔離し持ち帰ることにした。串本海中公園の水族館の観察も行い、白浜水族館との違いも考察した。この日は夕食後にも生き物の同定を行なった。
 最終日は、串本で採集してきた生き物の同定の続きを行ない、レポート作成、アンケート記入を行ない、ILASセミナーを終了した。今年はウミウシの当たり年のようで、普段見たことのない種がたくさん採集された。そのため、私自身も図鑑とにらめっこし、種の同定作業を行なった。
 実習生には事前ガイダンスの際に思いつく貝の名前を書いてもらっているが、ガイダンス時には数個しか思いつかなかった名前が、実習の最後には簡単に2桁は言えるようになっており、貝類の多様性の高さについて実感できたようである。