ポケゼミ報告2012「瀬戸内に見る森里海連環」

森林環境情報学分野 講師 中島 皇


 メンバーの顔合わせ、本ポケゼミの動機付け(前年報告参照)のセミナーを5・6月に1回ずつ北部キャンパスで行い、8月9日~12日に徳山試験地で合宿形式ゼミ(3泊4日)を行った。今年はキャンセルはなく参加者は7名(文1(1)、法2、教1、工2、農1(1):カッコは女子数)となった。フレッシュな新入生諸君が瀬戸内の恵まれたフィールド(環境:森・里・海)に出て、自ら体験し、自然と人間の関わり方、里の意味を考えることがこのセミナーの目的である。
 集中ゼミは、8/9(火)15:30にJR徳山駅集合し、街から試験地の森を眺めながらの説明で実習は始まった。TAは鈴木君(森林情報学研究室M1)空手部主将経験者である。女子2名の参加ということで、今年も試験地の収容能力いっぱいのゼミとなった。ロッカー等を上手く配置し、キャンプ同様の態勢で対応した。事務所では大きなスイカが一俵、皆を待っていた。スイカは非常勤の職員さんが学生さんが来るからと準備してくれたもので、後で聞くとご自分で作られたそうで感謝。よく冷えた甘いスイカを食べ、大いに夏を感じた。その後、飯炊き班と買い出し班に分かれ、街のスーパーへ。刺身や惣菜を買い、炊きたてのご飯とで夕食。さすがに海のものが美味しい。夕食後は、レポート発表会第1部。夜は、谷を渡る涼しい風に吹かれながら誰かが仕入れてきた花火を楽しんでいた。
 8/10(水)恒例の万葉の森(周南西緑地公園:旧徳山試験地)の見学と大賀ハスを観賞。ここで、今年は九州大学の柳哲雄先生がゲスト参加された。先生は末武川河口の出身である。旧試験地から最源流部の烏帽子岳(697m)近くの赤松ヶ平展望台に登った。九州・四国まで見える。魚切ノ滝のしぶきやスギやヒノキ林の人工林を感じながら渓流に沿って下る。人の暮らした跡が感じられるようになり、緑の鮮やかな水田風景。八代盆地の公園では川に入って水を感じた。下松市水道水源池の温見ダム、多目的ダムである末武ダムを見学して、初めてお世話になる大田原自然の家(周南市の施設:S46年に休校になった大田原分校)に向かった。試験地よりずっと山奥の分校。広い教室で給食のような夕食を食べた後、発表会第2部を行った。時間がゆっくり過ぎて行くのを実感できるところであった。
 8/11(木)晴れ。午前中は試験地のヒノキ人工林(ふるさと文化財の森(檜皮))と常緑広葉樹天然林を巡る見学から始まった。末武川下りは昨日の終点に近い花岡八幡宮からお昼にスタートした。今年は潮のめぐりが悪く、それほど引いていなかったが、海水で遊びたい面々には楽しかったようだ。末武川河口部の観察は最後におこなった。15時半頃には切り上げて、法学部の2名は後ろ髪を引かれる思いで、試験のために京都へ帰って行った。恒例のバーベキューは鈴木君の指示のもと準備が整い、人数は少なくなったものの多いに盛り上がった。
 8/12(金)は京大の先輩である柳先生の研究人生話を伺って、アンケートと感想文を完成させ、後片付けをして、昼頃に徳山駅で解散となった。今年は女子2名の参加があったが、ほぼ問題なくプログラムが実行できた。今回でどうやら徳山試験地でのポケゼミが軌道にのった。協力に感謝したい。