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フクジュソウ

フクジュソウ

日差しに力強さが戻り、凍りついていた構内の雪も目に見えて減ってきました。

いち早く雪が解けた木の根元に、フクジュソウの黄色い花が咲いていました。

道東地域では1つの茎に1つだけ花をつけるキタミフクジュソウ (Adonis amurensis) が多いのですが、こちらはフクジュソウ (Adonis ramosa) です。茎に複数の花がつき、葉の裏には毛がありません。

少し離れた場所にはキタミフクジュソウも咲き始めており、白い雪と茶褐色の地面にあって陽だまりのように輝く花が春の訪れを彩っています。

これから樹木の開葉が完了するまでの期間、太陽の光が降り注ぐ明るい林床でスプリング・エフェメラルと呼ばれる植物が、ひとときの光を活用すべく次々と開花させます。

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止水パネルの準備

寒さの厳しい標茶でも、冬が終わりに向かい春が近づいて来ているように感じます。
この時期の雨は土壌凍結の影響で水が地面に浸透しにくいうえ、積雪を融かすため、降水量以上の出水を引き起こします。そのため、大雨の予報が出た際は近隣の河川の氾濫や洪水に注意が必要です。過去には何度も氾濫、洪水が起きて管理棟や宿舎が浸水被害を受けています。
3月19日土曜日の夜中から翌日の朝にかけて大雨の予報が出ており、対策として止水パネルを準備しました。

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越冬するナミテントウ

構内の倉庫の隅っこで、たくさんのナミテントウが越冬していました。虫が嫌いな人はギョッとするかもしれません。彼らは夏の間はバラバラに暮らしているのですが、越冬前にはどこからか集まってきます。

集まることで越冬の成功率を高めるとも言われていますが、確かなことはわかっていません。

 

色々な模様の個体がいますが、全部ナミテントウという1つの種に属しています。温暖な地域では黒地の個体が多く、寒冷な地域では赤地の個体が多いようです。ちなみに、筆者の育った関西某所では、赤地の個体は見たことがありません。

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越冬期の鳥類調査

林内で観察される野鳥のリストを作成すべく、夏期に続いて、越冬期の鳥類調査を行いました。

鳥類調査中

調査はあらかじめ決めたルート上の5地点を往復、それぞれ10分間に観察できた鳥を記録します。

調査開始時点の気温は約-13℃。スノーシューを履き、雪に覆われた林道を歩きます。調査中はほとんど動かないのでペンを持つ手もかじかみ、音声録音用のレコーダーの電池もすぐに消費してしまいました。

寒すぎなのか事務所周辺ではよく見るハシブトガラやゴジュウカラなどの小鳥たちは姿をほとんど見せず、カラスが鳴くばかり(牧場の多い標茶はカラスが多い)。正直盛り上がりに欠ける調査になりかけましたが、終盤にオオワシの群れが出没しました。以前より標茶でオオワシやオジロワシを見る機会は増えているように感じます。

鳥類調査はこれまで経験がなく、声だけとか、姿が見えても一瞬だけ、それも逆光で色が良くわからないなど、植物にない難しさがありますが、トレーニングして識別能力を身につけたいと思います。

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林道の除雪

昨年に直営皆伐等で伐採したカラマツの売り払いをするために、ホイールローダーで土場(どば)までの林道除雪を行いました。

伐採した木を用途に合わせ定尺の丸太にするのですが、その丸太の一時保管場所を土場とよんでいます。今年度は直営皆伐区、請負間伐区、枯損木処理区にそれぞれ土場があります。
ただの除雪といえども、雪に覆われた林道は路面と側溝や斜面との境が視認しづらく、またタイヤにチェーンを巻いていても滑る可能性があり、非常に注意を要します。
今回の雪は道東では珍しく湿った重い雪だったので、林道各所で木が折れたりしなったりして行く手を阻んでいました。そのためホイールローダーで先行して除雪を行いつつ、倒木があった際にはホイールローダーの後ろから乗用車でついてきている職員がチェーンソーを使って倒木の除去をしました。

冬の作業は足元も滑りやすいので、普段以上に安全に留意して業務を行っています。

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霧氷の朝

霧氷をまとったオオアワダチソウ

昨夜は町内に濃い霧がたちこめた標茶町。朝になると周囲の木々は真っ白に霧氷をまとっていました。

今朝の最低気温は-14.5℃でしたので、標茶にしてはそれほどの冷え込みではありませんが、空気中の水蒸気の量や風などの気象条件がそろうと霧氷が発達します。

遅い遅いと言われたこの冬の冷え込みも徐々に厳しくなり、10センチ程の積雪もこのまま春まで解けないように思われます。

国内屈指の厳しくも美しい冬がやってきました。

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中学生インターンシップ

10月28,29日の2日間、釧路市内の中学校より生徒が1名、インターンシップ(職場体験)として標茶の研究林にやってきました。

1日目は主にチェーンソーによる玉切りや、構内アカエゾマツ林で伐木を体験しました。チェーンソーワークはもちろん初めての体験だったのですが、受け口・追い口ともに理想的な形に作ることができていて、特に水平の感覚が優れており、狙い通りに刃を入れることができていました。
もちろん伐木に関しては大きな危険を伴う作業なので、安全に倒れるように職員がサポートを行っていました。

2日目は林内の説明と殺鼠剤の散布、カラマツ林にて小規模皆伐のための収穫調査を体験しました。収穫調査では来年伐採する木の胸高直径をはかり、ネズミによる被害や木の状態を記録し、伐採対象木であると分かるようにテープを巻きます。ネズミの被害確認とテープを巻く仕事をインターンシップ生に担当してもらいました。

今回の経験が将来どのように役に立つかは分かりませんが、森林・林業に興味を持っていてインターンシップの場として希望してくれることはとても嬉しいことです。
研究林として対応できることもあるかと思いますので、どんなことでもご相談いただければと思います。

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エゾモモンガ

エゾモモンガ

白糠での天然林の調査中に木に空いた小さな穴(樹洞)を発見。「モモンガとかいるかも」と思いつつ調査をしていると中からモモンガが飛び出してきました。

エゾモモンガはキツツキが空けるなどしてできた樹洞を利用しており、樹洞のあるような古い木が存在することで生息することができます。中が腐ったような木は林業的には欠点となりますが、多様な生物が生息する環境を提供しています。

夜行性のエゾモモンガ氏。睡眠中に叩き起こした形となり、思いっきり警戒されましたがシャッターチャンスをサービスしてくれました。

つぶらな瞳がたまりません。

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自然観察会「秋の森の生態系」レポート

10月2日に標茶区で自然観察会「秋の森の生態系」を開催しました。観察会は京大ウィークスの一環として行ったもので、標茶区での開催は初めての試みでした。

観察会には町内外から10名が参加しました。天然林を流れる小河川のそばに設定した観察コースでは、地下水の自噴する様子を見たり、水質分析や魚類調査など研究の一端を見学しました。昼には前日から残っていた雨も止み、参加者は紅葉の始まった森を歩きながら、樹木の解説を受けたり、ヤマブドウやサルナシ、チョウセンゴミシ、ドングリといった秋の実りを楽しんでいました。

参加者からは「一緒に歩いてくださったスタッフの方が、それぞれ見つけたものをシェアしてくれたのがとても楽しかったし勉強になりました」、「みなさんとお話ししながら、聞きたいことを気軽に聞ける雰囲気がよかったです」、「湧き水のデモがおもしろかった」、「山ぶどうと五味子がおいしかった」といった声が寄せられました。

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秋の天然林調査

固定標準地調査シーズン真っ盛りです。どのような木がどれくらいあって、どれくらい生長しているか5年間隔で測定しています。夏は樹木の活動期なので肥大生長が落ち着いた時期に行います。

季節は巡り、気づけばすっかり秋色の森になっていました。落葉してしまうと見通しはいいのですが、樹種や生死が分かりにくくなるので注意が必要です。

調査データは以前は紙野帳に記載していましたが、この数年は現地でタブレットに入力しています。野帳担当者は森の中にいるのに、ほとんどタブレットとにらめっこ状態。木の状態を見たり、調査漏れがないか確認するため意識して視線を上げるのですが、ナンバーテープにピントがすぐに合わないことに老化を感じます。