東 若菜

参考情報(2017-03-31 までの情報です)

wakana_azuma
フィールド科学教育研究センター 森林生態系部門
森林育成学分野 特定助教
E-mail:wakana*kais.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)

(2016-08-18 公開)

1. 研究分野

 私がこれまで研究対象としてきたのは、樹高が高く、高齢の樹木です。なぜなら巨樹が大好きだからです。
陸上生態系内でもっとも大きな生物である樹木ですが、なぜそんなにも大きくなれるのか?なにが樹高の限界を決めるのか?といった古くからある問いに対する議論は未だにつきません。そこで私は、特に樹高成長が旺盛な針葉樹において、樹高成長に関わる生理学的メカニズムの解明に取り組んできました。既往研究では樹高成長の制限要因に重点がおかれることが多いなかで、樹木による適応的な生理特性に着目することで、新しい樹高成長のメカニズムをひも解くきっかけとなりました。現在は針葉樹における調査を継続しながら、広葉樹の高木種においても、樹高限界に対する樹木の適応的戦略について取り組んでいます。また、長寿という樹木のもう一つの大きな特徴に対して、樹木の生理特性に対する樹齢の効果についても興味を持って研究を進めています。

 一方、大きな樹木の生理生態を深く知るためには、多角的視点による統合的な理解が必要であると考えています。光合成速度や水ポテンシャルや樹液流速といった生理学的手法、細胞や組織の観察や計測といった解剖学的手法、赤外分光法を用いた物理化学的手法を用いて得られた結果を統合的に考察することを試みてきました。各分野の知見が融合することで、新たな発見があると考えています。現在特に精力的に進めているのは、組織や細胞といった構造と生理機能をつなぐことです。どのパーツが生理特性を機能させているのかを知ることで、生理現象のメカニズムに踏み込む一歩となりうると考えられます。

 また、私の調査スタイルの大きな特徴のひとつは、ロープや専用の器具を用いた木登り調査です。木登り技術を用いることで、自分よりもはるかに大きな樹木に大型設備を必要とせずともアプローチすることが可能となり、地上から見上げるだけでは分からなかった樹冠部の生態系や環境に触れることができます。高木や高齢木の研究は、対象が大きいだけにコツコツとしか進めることができず、未解明な知見も多く残されたままです。研究がさらに発展していくためにも、木登り生態学者仲間を増やし、協力しあえる関係性を築いていくことにも貢献したいと思います。

 上記に紹介したテーマ以外にも、都市に近い二次林(里山、緑化地、社寺林など)の景観生態学的研究、樹木病害に関する生理学・解剖学的研究、樹木に着生する植物や森林に生息する虫や動物などの生態学的研究など、森林科学に関わる幅広い分野に興味をもち取り組んでいます。
*主な研究分野:樹木生理生態学、林冠生物学、機能解剖学

2. 好きなもの、趣味

 巨樹、食べること、音楽、ダンス、ジブリ映画 などなど。

3.その他

 短い任期のなかで出来ることを、いろんな方々と関わりながら、精一杯楽しめるようにコツコツとチャレンジしていきたいです。


(フィールド研における経歴とページ履歴 情報整理 2017-04-03)
2016-04-01 森林生態系部門部門 森林育成学分野 特定助教
2017-03-31 辞職(日本学術振興会 特別研究員PD(京都大学受け入れ)へ異動)