少人数セミナー「海辺から学ぶフィールド科学」 2004年4月21日〜 7月 4日

講師:フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所 益田 玲爾


 少人数セミナー『海辺から学ぶフィールド科学』では,「海をフィールドとした具体的な研究事例を紹介」し,「これらを通してフィールド科学の研究に必要な知識や技術についての認識を深め,今後の勉学の方向性の指針としてもらう」ことを目指した.シラバスにこのように書いたのは,本ポケゼミを開くにあたり,研究者志望としてフィールド研に来てくれそうな学生さんを募りたいという魂胆があったためである.海を研究の場としたフィールド研究の興味深い事例をレビューし,そこに必要な知識や技術についてまとめてゆきながら,議論の材料とし,自分も学ぼう,というのが当初の計画であった.
 しかし蓋を開けてみると,農学部2名,理学部2名,医学部1名と履修希望者は少数かつ多様で,しかも希望の進路も様々であった.そこで当初の計画から若干変更し,担当教員自身がこれまでに取り組んできた研究を毎回1時間弱の講義として紹介し,次にこれを材料に自由討論し,最後の20分でレポートを書かせる,といったフォーマットをとった.2回目以降の講義では,前回のレポートを紹介し,それぞれにコメントしていった.研究紹介は4回でネタが尽きてしまったため,第5回の講義では,東京大学海洋研究所の塚本勝巳教授の研究のレビューをした.それも1回で終わってしまったので,最終回の講義は,研究者としての生き方について語ってみた.以下が,全6回の講義のタイトルである.

第1回 研究の道具としてのスキューバ潜水
第2回 群れ行動の発達心理学
第3回 魚類心理学を栽培漁業に活かす
第4回 魚の行動から海の資源の未来を読む
第5回 回遊魚の行動学
第6回 研究というゲームの楽しみ方

 講義で当方のノリを理解してもらった上で,舞鶴での2泊3日のフィールド実習に臨んだ.フィールド実習は山下教授の「海の環境と沿岸資源生物」と合同で行い,シュノーケリングによる生物の観察や砕波帯での曳網調査を行った.舞鶴水産実験所の甲斐助手が酷暑の中,魚類の同定や安全確保の面でサポートしてくれた.また,福西・松田両君ほかの大学院生は,単に調査の指導補助をしてくれたにとどまらず,実習生たちが近い将来の自分の姿を投影する上で格好のロールモデルとなってくれた.
 講義の帰りの電車の中で次回の講義のパワーポイントを準備するといった,多分に自転車操業的な営業にもかかわらず,学生諸君には好評を頂けたようだ.「来年も聴講させてもらっていいですか」と言う学生には,ダメとは言えず,さらに,「今年と同じ講義ってことは,ありえないですよね」と追い打ちをかけられた.平成17年度は,『魚類心理学入門』とタイトルを変えつつも,今年とほぼ同じ内容でポケゼミを担当する予定である.Hさん,ごめんなさい.





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