少人数セミナー「原生的な森林の働き」 2005年5/20(金),6/3(金),6/25(土),7/16(土)〜7/18(月)

講師:フィールド科学教育研究センター 森林環境情報学分野 講師 中島 皇


 今年度は5月、6月に1回ずつ北部キャンパスで、6月には1dayセミナーを上賀茂試験地で、7月に2泊3日の集中講義(合宿形式)セミナーを芦生研究林で行った。参加者は8名(男4、女4)(学部別:経済2、理1、工1、農3、総人1)であった。セミナーの目的は、シラバスにもあるようにフレッシュな新入生諸君にフィールド研究入門の前段階として、フィールド(森林)に出て自ら体験し、自然と人間の関わり方に興味を持ってもらうことである。

 5/20(金) 5限目。フィールド研の大会議室でガイダンス。ゼミの内容と今後の予定及び自己紹介。

 6/ 3(金) 5限目。北白川試験地にあるj-pod(センターHPを参照)の教室で、涼しい風が通り抜ける中、森林の働きについてのセミナーを行った。森林についての研究を紹介し、各自の考え方を発表し合い、森林の働きをいろいろな面から討論した。

 6/25(土) 10:00に上賀茂試験地に集合。別に申請のあったNPOの見学者グループと合流して試験地内を見学した。試験地には標本館をはじめ、世界各地から集められた生きた樹木のコレクションや遷移を続ける天然林などの教材がある。沢山の種類のマツや里山の天然林を実感すると共に、年配の見学者との会話も印象に残ったようである。見学後は、講義室では各自が持つ森林のイメージについてのセミナーを行った。また、7月の集中ゼミでの献立や買い出しの段取りを話し合った。
 毎回何らかのアクシデント?があるのだが、今年は一人の学生から「前々日アパートの階段から落ちて捻挫したので行けそうもない。」と連絡があった。楽しみにしていたのに残念なことである。

 7/16(土) 出町柳駅前10:00発の京都バス広河原行き。今年は珍しく?全員無事に広河原のバス停に揃っていた。芦生到着後、各自持参の昼食をとり、由良川本流沿いのトロッコ道を歩いて、芦生の標高の低い地域の代表的な樹木と川沿いの植生や地形を見学した。巨大なアシウスギ(台杉)には驚いたようであった。このセミナーでの食事はすべて自炊である。買い出してきた食材を使ってカレーが出来上がった。夜は、芦生研究林が抱える問題点や環境・自然保護の議論を行った。

 7/17(日) 昼食を作って出発。途中、幽仙谷集水域天然林研究区で大面積・長期プロットと暖温帯と冷温帯の境界について説明を受けた。天気はまずまずで、杉尾峠に上がった。日本海の遠望は少し無理であった。由良川最源流・最初の一滴を確かめた。歩道はぬかるんでいる所も多かったが、少し蒸し暑いくらいの原生的な雰囲気を持つ森(但し、最近のシカによる食害のために下草がほとんどなくなっている。)を楽しみ、昼食は沢に近い広場で、朝作ったおむすびをワイワイ言いながら食べた。この日は芦生の標高の高い地域の代表的な樹木や植生と準平原状の地形を時間をかけて見学した。長治谷からは量水堰、大桂、二次林と人工林を観察しながら、途中で飲んだ湧き水は最高だったようである。幽仙谷では天然林からの流出物の調査を行った。土砂と流出木の大きさと重量を測定した。夏でも鍋が出来るのが芦生の魅力である。味噌鍋の夕食後、TAとして参加してくれた吉野君(森林情報学M2)の研究紹介を興味深そうに聞き、質問をしていた。

 7/18(月) 最終日は調査データの整理・解析の実習。昨日計測した流出物のサイズや重量を整理し、レポートとしてまとめた。また、感想文には、原生的な森林を自分の足で歩き、色々な植物や動物に触れた率直な気持ちが表現されていた。最後に宿舎・食堂の片付けとフィールド科学教育研究センターからのアンケートを書いてセミナーは終了となり、芦生研究林の車で広河原バス停まで送ってもらって、京都への帰路についた。



− 実 習 の 様 子 −