少人数セミナー「森林の更新と動態」(報告)


担当教員:フィールド科学教育研究センター 助教授 安藤 信

 京都市市街地周辺の暖温帯林、奥山の芦生研究林の冷温帯林、その中間に位置する北山・八丁平湿原周辺の天然林・二次林を踏査・調査し、森林帯、地形、遷移過程の違いに伴う林分構造の違い、そしてその更新過程や動態について講義・実習を行った。本セミナーでは農学部森林育成学研究室の大学院生呉初平君が協力してくれた。

○4月22日(土):森林の更新と動態(講義)とマツ林の再生技術(その1):午前中は授業の概要と野外調査における注意点を説明し、森林の遷移と更新の違い、階層構造、遷移に伴う種組成や多様性の変化、さらに京都市市街地周辺の森林の近年の変化についてデータをもとに紹介した。院生による現在行っている研究の紹介があった。午後は大文字山の山道から識別実習を行い、マツ林の「マツ枯れの影響」とその後の森林の遷移について説明した。また、中腹では京都・国有林との共同研究として始まった「マツ林の更新」試験地を見学し、自然に落下するアカマツ種子による「天然下種更新」とその更新に適した自然環境について解説した。
○4月23日(日):樹木の識別法(講義及び実習)マツ林の再生技術(その2):午前中は樹木の同定に関する資料を配布し、北白川試験地の見本園において樹木識別実習を行った。午後は深泥が池、上賀茂試験地を訪れ、マツ枯れ林分の天然更新状況、マツ林の更新を促す地表処理試験について概説した。
○4月29日(土)〜4月30日(日):芦生の天然林、二次林の林分構造と動態:人為的攪乱が少ない天然林の構成樹種を明らかにするとともに、間伐の程度が異なるミズナラ林において、残存するミズナラと間伐後に萌芽更新してきた樹木の直径・樹高調査を行った。29日の夜は芦生の天然林、二次林の更新・動態と近年の環境変化についての講義を行った。
○5月20日(土):冷温帯二次林の地形、攪乱の違いによる林相の変化:午前中に北山・八丁平湿原周辺の複数の二次林の林分構造と動態、シカによる森林被害について講義を行い、午後からは調査地を訪れ、林分構造の違い、シカ害の実態を見学した。
○5月21日(日):京都市周辺二次林の遷移と森林調査法:京都市内の深泥が池周辺のマツ枯れ跡地に天然更新してきたアカマツ稚樹の成長と更新環境を調べる調査地を設定し、上層木の毎木調査を行った。ここでは、調査地の選定法、測量による設定、森林調査法を学んだ。
○8月27日(月):森林の更新と動態(講義)とマツ林の再生(補講):4月の開講時の授業に参加できなかった学生のために、午前中は森林の遷移と更新の違い、階層構造、遷移に伴う種組成や多様性の変化、さらに京都市周辺の森林の近年の変化について紹介し、午後は大文字山で、樹木識別実習、京都市周辺森林の「マツ枯れの影響」とその後の遷移について説明した。「マツ林の更新」試験地を見学し、アカマツの「天然下種更新」に適した自然環境について解説した。



− 実 習 の 様 子 −