少人数セミナー「高知・仁淀川流域の自然」(報告)
2006年 9月23日−29日

担当教員:フィールド科学教育研究センター 教 授 竹内 典之
                     教 授 田中  克

 平成18年9月23日〜29日の6泊7日の日程で、平成18年度少人数セミナー「高知・仁淀川流域の自然」を開講した。本セミナーは、仁淀川流域の自然景観が気象・地象・海象、生物、人為の相互関係によって造り出されていることを観察や実習を通して実際に自らの目で確かめ、様々な自然景観を造り出している要因について検討するとともにどのような生物(人間をも含めて)がどのような生活を営み、どのような問題を抱えているのかを解明するための突破口を新入生諸君と共に学ぶことによって提供することを目的に開講した。
 受講者は、農学部1回生1名、工学部1回生1名、経済学部1回生1名、文学部1回生1名、総合人間学部2回生1名の計5名と少なかったが、8人乗り自動車1台に全員が乗車しての移動となり、田中 克教授やTAの院生らと移動時間内にも親しく会話・議論できたのは本セミナーの主旨達成には好都合であった。
 当初は平成18年4月27日に開所した横浪林海実験所を拠点とする予定であったが、宿泊設備等が整わず断念せざるを得なかった。急遽、仁淀川流域で拠点となる宿泊施設を探したところ、仁淀川町池川の池川木材工業会長大原儀郎氏、社長大原栄博氏父子のご厚意により二階建てログハウスを無料でお借りすることができた。教員2名、技術職員1名、TA女子1名、男子学生5名の10名が6泊するにはやや手狭ではあったが、相互理解を深めるには最高の拠点であった。
 観察・実習の主な内容は、

 9月24日 仁淀川上流雑誌山40年生ヒノキ林に20m×20mの方形区を作成し、選木、間伐を実施
 9月25日 仁淀川上流域の河川観察と小川川の川漁師による講義と川漁の実習
 9月26日 西日本科学技術研究所福留氏の講義「近自然工法」と近自然工法実施地の見学
 9月27日 高知県水産試験場松浦氏の案内で仁淀川下流・河口域の見学
 9月28日 池ノ浦漁業協同組合組合長福田氏と高知県水産試験場田野井氏による講義の後、
      横浪林海実験所背後の竹薮の整理伐採
であった。

 受講生たちは、「全体を通して強く感じたことは、一見してとてもきれいな川だと思える仁淀川が、実は様々な問題を抱えているということです。」「自然の持つ大きな力に逆らわず、自然に歩み寄ること、これが問題を解決する大きなキーになると思います。」「『豊かな緑』という言葉は名ばかりのところが多いという事実は衝撃的であった。」「講義では、近自然工法の話が特に面白く思いました。『原理は1つでも現象は無数だ』という言葉が印象深かったです。」などと感想文には記していた。感想文を読むかぎりでは、ほぼ当初の目的は達せたのではないかと考える。


− 実 習 の 様 子 −