少人数セミナー「森里海のつながりを清流古座川に見る」(報告)
2006年 8月21日−25日


担当教員:フィールド科学教育研究センター 助教授 梅本 信也

 1回生向け少人数セミナー「森里海のつながりを清流古座川に見る」は、天候に恵まれつつ、2006年8月21日から25日まで行われた。体調不良で直前欠席となった1名を除いて、参加者数は合計9名、参加学生の所属学部は文学部1名、工学部2名、農学部6名と分野が多岐であった。宿泊行動拠点となる紀伊大島実験所に集合、講義・宿泊棟内での全体ガイダンスの後、簡単なフィールドワーク入門講義を行った。
 2日目からは4つの調査班に別れて、古座川流域ならびに河口沖に広がる串本湾岸域に設定された5調査地域、すなわち古座川本流の明神地区、西向地区、湾岸の姫地区、須江地区、樫野地区へ、公用車または徒歩で移動し、その年の共通課題である「食から森里海連環を考える」を念頭に置きながら、観察、インタビュー、採取などを行った。いずれの地区も古座川の水、空気、産物、文化、人間、生物などの景観構成諸要素と不可分の相互関係にある農村、山村、漁村であり、いまだに適正な森里海連環が認められる地域である。
 初日は慣れない共同買出し、共同自炊、共同生活に戸惑う向きもあったが、2日目の朝からはお互いの心も打ち解けて、一体感が形成され始めた。また、調査先では地元の方々との交流の要領も徐々につかみ始め、2日目の現地調査が終わる頃には初めて経験する疲労漂う顔つきの中に独特の溌剌さが垣間見られるようになった。
 3日目にはさらに異なる調査地に班別に出向き、昨日の調査経験を生かしつつ、様々な角度から比較検討も可能となった。毎夜には昼間の調査内容を、地元の方々から頂戴した海の幸、山の幸に舌鼓を打ちつつ、検討しあった。4日目の夕食時には、調査先で地元の人々から教えてもらった伝統料理披露を行い、互いに賞味しあった。
 最終日には、共通テーマと個人設定テーマに沿ってレポートを提出、解散となった。事故や怪我も無く、世話になった地元の方々と河口沖にある古座川の守護神・黒島に感謝する次第である。


森里海連環を体得するため調査に向かう学生さんたち