平成19年度 少人数セミナー 「海洋生物の多様性」  報告



講師:フィールド科学教育研究センター基礎海洋生物学部門
海洋生物多様性保全学分野 教授 白山 義久



 ポケゼミ「海洋生物の多様性」は,講義と実習を組み合わせたポケゼミである。講義はフィールド研小会議室において,6回実施し,海洋生物学の基礎となる海洋学の知識と海洋生物に関する基本的事項についての解説を行った。この学習の成果をもって,実際の海洋生物を観察する実習を,7月29日から8月1日まで3泊4日の日程で,瀬戸臨海実験所において実施した。実習内容としては,1.スルメイカとメバルの解剖,2.メイオベントスの採集と観察,3.スキンダイビングによるメガベントスの目視観察,4.見釣り,5.南方熊楠記念館の見学の5項目を実施した。
 今年度の本実習の参加者は,9名(法学部1名,経済学部1名理学部1名,農学部3名,工学部3名)と昨年度の3名から大幅に増加した。今年度はレポート課題を課さなかったことが主たる要因らしい。また,レポート課題がなかったため,参加した学生のなかに文科系の学生がいたのが特徴となった。
 本実習は,昨年度に協定書を調印したNPO法人エコロジー・カフェ(エコカフェ)との協力事業という位置づけでもあり,その会員も参加した。具体的には,上記実習内容2・3・5は,エコカフェの会員も一緒に現場と実験室の作業を行った。
 また,実習時間外のアクティビティも多数行い,そのなかでも学生とエコカフェ会員とは,充実した交流をした。特に一日目の夜のBBQと二日目夜の花火大会の鑑賞において,エコカフェの方々(社会人)と学生との交流は,どちらにとっても有意義なものとなったようである。
 学生にはやはり実習の方が講義よりインパクトが強いことがわかったので,来年度からは,実習中心に内容を改めて実施したいと考えている。また,エコカフェとの連携は,学生にとってもよい機会となったので,今後も続けていきたい。
 エコカフェにとっては,会員が本当の自然に触れる機会を得たことに満足感があったようである。特にスキンダイビングとメイオベントスの観察はどちらも普通にはできないものだったため,貴重な体験となり,今後も実習に継続して参加したい意向である。