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京都府立林業大学校「森林科学Ⅰ」実習報告

 6月28日に京都府立林業大学校の「森林科学Ⅰ」実習が行われ、11名の学生が芦生研究林に訪れました。石原林長が事前に京都府立林業大学校で、森林科学Ⅰの講師として森林生態学に関する講義を行っています。この実習の目的は、座学で学んだことを実際に芦生の森で見学することにより、さらに学びを深めるものでした。

 当日はまず、京都府立林業大学校の卒業生である研究林の技術職員(宮城、永井)が、京都府立林業大学校入学前後のキャリアについて話をしました。そのあと技術職員の職務内容や、学校での学びと職務の繋がりなどについて解説を行いました。
 次に石原林長と技術職員の解説を聞きながら、上谷を杉尾峠から長治谷に向けて歩きました。道中では学生から「人工林と原生的な森林の違いは何なのか」、「自然生態系の管理とはどのようなことなのか」といった多くの質問がありました。現場で森林に関わっていくキャリアを考えておられる方が多かったため、とても的を射た良い質問ばかりでした。学生は林業や森林管理だけでなく、自然生態系やシカによる食害など、積極的に林内見
学をしていました。雨の予報でしたが長治谷までは雨に降られることなく、上谷歩きを終えることができました。しかし実習最後に立ち寄った大カツラでは大雨に見舞われ、車内からの見学となりました。下山後に斧蛇館で研究林の資料を見学しました。
 
 京都府立林業大学校卒業生である筆者の経験では、京都府立林業大学校の実習では人工林の見学が多く、芦生の森のような自然度の高い山に行く機会は多くありません。今後、森林について学びを深め、また色々な山を見学していく中で、この日の経験を思い出していただき、よりよい森林と人間との関係を実践的に作っていく人材に成長していただければと思います。

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学生実習

東邦大学の学生実習「野外生態学実習Ⅱ」 実習報告

2023年5月22-26日 東邦大学の学生実習「野外生態学実習Ⅱ」が行われ、16名の学生が参加しました。
森林軌道沿いや構内で爬虫類・両生類・昆虫等を対象とした観察と生態学的調査方法の体験が行われました。24日には上谷を中心に植生や生物相の観察し、さらに植生保護柵を見学し、シカの過採食が生態系や生物多様性に与える影響について学び、帰り道に大カツラを見学しました。

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森里海連環学実習III :暖地性積雪地域における冬の自然環境 実習報告

2022年度の森里海連環学実習Ⅲが2月20日から2月22日の日程で、芦生研究林において行われました。参加した学生は京都大学農学部、経済学部、法学部、総合人間学部、工学部の1〜4回生13名でした。芦生研究林内や美山町内の施設の見学、地域の方のお話を伺うことで、積雪地域の森林の様子や人の生活を学びました。

実習初日は道の駅の見学や多雪地域での生活の様子を見学しました。
午前は道の駅ウッディー京北、道の駅美山ふれあい広場、京都丹波高原国定公園ビジターセンター(以下、ビジターセンター)の見学を行いました。各施設では外装・内装の見学や、特産品の見学を行いました。
午後は午前の簡単なまとめをビジターセンターで行ったあと、美山かやぶきの里の見学を行いました。見学後芦生に移動し、多雪地域で家屋などへの雪害軽減のために行われる「雪囲い」の解説を、地元の方に行っていただきました。あらがわない、自然とともに生きていくという考え方に触れ、忙しなく人工環境を維持しようとする都会の考え方との大きな違いを感じた学生もいました。
芦生研究林に到着後はスノーシューの足慣らしを行いました。その後、夕食を自炊しました(きのこと、地元美山町産の鹿肉とお米を使ったカレー)。とても美味しかったと学生さんに好評でした。
夕食後、芦生研究林内の過去約100年間の積雪データを解析する演習が行われ、地域の方からうかがった雪が減ってきているというお話と、データの対比を行いました。

実習2日目は積雪断面調査と冬季の森林散策を行いました。
実習1日目から2日目間の一晩で20~30cmほどの積雪があったため、午前は積雪断面調査前に簡単な除雪作業と、資料館見学を行いました。除雪・見学後に宿泊所前で3班にわかれて積雪断面調査を行いました。
午後はスノーシューを履き、林道を歩きながら樹木の冬芽の観察など、3時間ほどフィールドワークを行いました。雪質の違い、樹木がどのように厳しい冬に順応・適応進化してきたを学びました。
この日は夕食後に「トチノキの伝統的利用と地域資源としての活用」というテーマで講義が行われました。

実習3日目は栃へし作業と、ビジターセンターでグループディスカッションを行いました。
午前は宿泊所で栃へし(栃の実の皮を剥く作業)を行いました。芦生研究林は地域住民・団体と、栃の実プロジェクトを進めています。このプロジェクトではトチノキの保全、栃の実の地域づくりへの活用、教育を一体的に協働してすすめようとしています。その一環で、栃へしを学生さんにも体験してもらい、伝統知やこうした超学際研究プロジェクトを学んでもらうため、実施しました。地域団体の方から、作業の手順や専用の道具の使い方、そして栃を利用する文化を守りたいという思いを話していただきました。またこの日の昼食に栃餅をいただきました。栃餅ができあがるまでに栃へしを含めとても手間がかかっており、あく抜きのための灰の入手など人が森とともに暮らしてきた生活があってこそ成り立ってきたことに気づき、栃餅の価値を初めて知り、もっと都市住民にも知ってもらいたいという意見や、かつては各家庭で行われていた栃へしが、現在は共同作業として行われており、そこに住民間の交流が生まれ、機械化することの是非について考えを深めた学生もいました。
午後はビジターセンターに移動し、ビジターセンター運営協議会の事務局長の吉永さんに「京都丹波高原国定公園ビジターセンターの特色」というテーマで、センターの活動や特色に関する講義をしていただきました。そのあと、自然と人をつなぎ、地域経済にも貢献することを目的にビジターセンターで扱う商品の開発をテーマにグループディスカッションを行いました。グループディスカッション後は京都への帰路につき、レポート課題として提案をまとめることになっています。

今回の実習を通して、たくさんの地域の方によるご支援・ご協力を賜り、より芦生らしい実習を行うことができました。研究林教職員だけではなく地域の方とも交流を行うことで、冬山でのフィールドワークのみならず、積雪地に対応した地域生活や文化といった幅広い知見を学生達は得ることができました。また地域の方々の生の声を聞き、様々な価値観や生き方に触れ、他では得がたい学びとなったと思います。今回は食材や弁当の調達もできるだけ地域で行うように工夫しました。今後も地産地消や地域経済を考慮した実習に取り組んでいきたいと考えています。

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森林利用学実習 実習報告

2022年9月26~28日(9月26日のみ芦生研究林、27,28日は上賀茂試験地において実施)

2022年度の森林利用学実習は、芦生研究林において2泊3日で行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策のため日帰りに変更して実施しました。参加した学生は19名でした。実習内容は美山町森林組合の間伐現場の見学と、芦生研究林内での防鹿柵等の見学でした。

午前中は美山町内の間伐現場にて、森林プランナーや現場班長に事業や現場の解説等をしていただきました。この現場の施業面積は約20haに対して山林所有者様が十数名いることから、集約化する際に苦労したお話や、利益還元のため所有者様ごとに椪を分ける必要がある(土場が多くなる)など、森林経営計画を策定する際の課題や、現場の課題を学ぶことができました。また実際の間伐作業の見学では、地際直径で1mはあろうかという杉の大木を伐っていただきました。美山町森林組合様のご協力により、充実した現場見学になりました。

午後からは研究林内に移動し、防鹿柵の見学と、石原林長と職員による芦生研究林の植生や歴史の解説を行いました。防鹿柵の有無により植生が目に見えて違うことや、種子の供給源が近くにないと植生の回復が難しいことなどを解説しました。また木地師の集団が生活していた名残が、山に生えている木によって伺い知れることなど、広い視点で山を観察できるようにという助言がありました。

実際に森林内を見学することで初めてわかる施業現場の声や、山の様子を肌で感じられたと思います。

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研究林実習Ⅰ 実習報告

2022年8月29日~8月31日に京都大学農学部の研究林実習Iが行われました。新型コロナウイルス感染症対策のため、1日1班(約15人)と人数を制限して日帰りで実施し、3日間で計47名の学生が参加しました。
今回の実習は下谷や幽仙谷近辺を中心に行いました。林道を歩きながら教職員が冷温帯の樹木解説を行いつつ、さく葉標本作成用サンプルを採取しました。

限られた時間の中での実習になってしまいましたが、京都市内とは異なる植生や、原生的な森林から、オンラインでは感じることができない多くの体験を得られたのではないでしょうか。

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森里海連環学実習I 実習報告

2022年 8月8日~8月12日

2022年度森里海連環学実習Iが開催され、6名の学生が参加しました。

この実習は由良川をフィールドとして、河川水中の生物観察や水質の分析を通じて、森から海までの流域を複合したひとつの生態系として捉える視点を育成する事を目的としています。

1日目は芦生研究林内にて森林や大規模調査区の解説などを行った後、林内の河川にて魚類・水生昆虫・プランクトン・水質分析用の水サンプルの採取と水質調査を行いました。その後、研究林外へ移動し2か所で同様の調査を行い、生物相の変化などを観察しました。

2日目は中流域から汽水域へ川を下るような形で調査を行い、4か所で魚類・水生昆虫・プランクトン・水のサンプル採集と水質調査を行いました。また、夜には各地点から採取した水質サンプルの解析を行いました。

3日目は採取した水生昆虫と魚類の観察と同定を行い、採取地点ごとにどんな種類が何匹いるのかを記録しました。

4日目と5日目はオンラインで開催され、得られたデータを基に河川の環境や生物相の変化について参加者各自がプレゼンテーションにまとめて、発表と議論を行いました。

この実習を通して森林や都市部などが河川へどのような影響を与えるかを考え、森と海の繋がりやそれを巡る生態系について興味を持っていただけたら幸いです。

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龍谷大学塩尻ゼミ 実習報告

7/25-26にかけて、龍谷大学農学部の化学生態学研究室のゼミ合宿が行われ、10名の学生
が参加されました。
1日目は芦生研究林の概要説明の講義の後に、芦生研究林の概要説明の後に卒業論文の中間発表会をされていました。
2日目はマイクロバスで林内に入り、原生的な森林や防鹿柵による保全研究を見学した後、異
なる植生における昆虫相の比較調査を行いました。
3つのグループに分かれ、それぞれ異なった環境で捕虫網を用いて昆虫を採取し、種類や
種数を比較しました。
学生さんには虫捕り上級者から初心者までおられ、個人の捕獲能力の差が調査結果に影響しないように、互いに交代しながら終始楽しんで調査をされておられました。
多くの昆虫を捕まえることができました。
採取した昆虫は大学に戻って分析されるということで、どのような結果になっているのかこちらも楽しみです。

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宇宙総合学研究ユニット実習「有人宇宙キャンプ」  実習報告

2021年10月9日-10日

京都大学宇宙総合学研究ユニットの実習「有人宇宙キャンプ」が行われ、(具体的な大学名お願いします)から合計5名の学生が参加しました。この実習は地球上の多様な環境について知り、人類が地球外惑星や宇宙空間で生活するために必要な環境について学ぶことを目的としています。

芦生研究林では、森林生態系の炭素蓄積・固定量やシカの食害を通じて生態系の回復力と脆弱性を中心として、講義および野外実習が行われました。 1日目に枡上谷にあるモニタリングサイト1000の調査プロットへ行き、そこで行われている調査の説明を受けた後に、毎木調査を体験しました。その日の夜は、枡上谷の毎木調査データを使って、炭素蓄積量の推定を行いました。
参加学生たちの多くは森林を専門としていませんでしたが、正しい炭素蓄積の計算としっかりとした考察ができていました。 2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学しました。学生たちはシカ害に起因する研究林が置かれている現状と、レジームシフトや代替安定状態などの生態系の変化についての研究を学び、一筋縄ではいかない生態系回復の実際について実感したようでした。
参加学生たちからはたくさんの質問や意見が出て、とても意欲的でした。この実習の体験を将来に活かしてもらえるよう願っています。

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京と森の学び舎 実習報告

京と森の学び舎
2021年6月26日

森里海連環学教育研究ユニットが主催する「京と森の学び舎」のフィールドワークが行われ、12名が参加しました。上谷を中心にシカ防護柵の見学や植生変化の解説をしながらの散策を行いました。今回のフィールドワークで得られた気づきが今後の活動の一助になれば幸いです。

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森林利用学実習 実習報告

2021年9月27日 例年4日間の行程で行われている実習ですが、今年は緊急事態宣言下であり日帰りの行程で、スギの単木当たりの現存量の測定を行いました。

実習では、技術職員が伐採方法の解説をしながら60年生のスギ2本を伐倒し、枝払い後に、枝と葉をそれぞれ分けて重量を測定しました。林縁木で葉量が多く葉をむしるのが大変でしたが、アシウスギ(日本海側のスギ)の特徴の一つとしての葉が尖っていなくて触っても痛くないことを体験からも理解できたと思います。後半2日間は林分当たりの現存量の推定を上賀茂試験地で行いました。