シャコに乗る巻貝イシカワシタダミ:巣穴の中の 居候から体表寄生者へと進化

 2021年6月24日に、後藤龍太郎助教らのグループが、DNA 情報に基づく分子系統解析を行うことでイシカワシタダミの寄生性の起源を明らかにした研究が、国際学術誌 Molecular Phylogenetics and Evolution にオンライン掲載されました。

【DOI】https://doi.org/10.1016/j.ympev.2021.107122

R Goto, T Takano, D J. Eernisse, M Kato, Y Kano “Snails riding mantis shrimps: Ectoparasites evolved from ancestors living as commensals on the host’s burrow wall”

<概要>
 巻貝の仲間は、海から淡水、陸に至るまで地球上のあらゆる環境に進出し、生態も極めて多様です。その中で、最も変わった生態を示すものの一つが、甲殻類のシャコの腹面に寄生して暮らすイシカワシタダミです。これまでその特殊な生態がどのように進化してきたのかは謎に包まれていました。この巻貝は従来分類されてきたシロネズミガイ上科ではなくクビキレガイ上科という別のグループに入ることが判明し、さらにその中で干潟の動物(シャコやユムシ)の巣穴内に共生する巻貝の系統に内包されることが明らかとなりました。このことは、自由生活性の祖先から、宿主の巣穴内に居候する片利共生者を経て、シャコ類の体表に付く寄生者へと進化してきたことを示唆しています。寄生性の獲得に至る段階的な進化の過程が示された例は少なく、海洋における寄生生物の起源や進化を理解する上で重要な知見であると考えられます。(6月24日に国際学術誌Molecular
Phylogenetics and Evolution にオンライン掲載)

ニュースレター55号 2021年10月