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お知らせ

平成29年10月22日に上陸した台風21号により倒木が多数発生し、 林道・歩道が危険な状態となっているため、暫くの間一般の方の入林を禁止します。 研究利用の方は入林前に事務所にお立ち寄りいただくか、 事前に連絡をいただければ林道状況についてお知らせいたします。

上賀茂試験地は文部科学省教育関係共同利用拠点 「人と自然のつながりを学ぶ森林フィールド共同利用拠点」に認定されました。




沿 革

事務所周辺
本試験地は、1926年に大阪営林署より、京都府愛宕郡上賀茂村字上賀茂(現在の京都市北区上賀茂本山)の国有林の一部を買収し、京都帝国大学農学部附属演習林上賀茂試験地として設置された。1949年進駐軍による接収に伴い、農林水産省より所管換えを受けて現在地に移転した。以後、1950年の隣接地購入、1951年、1958年、2002年の所管換えを経て、現在、総面積は46.8haである。
2003年4月、演習林、瀬戸臨海実験所、亜熱帯植物実験所、ならびに水産実験所が統合し、京都大学フィールド科学教育研究センターが発足したのに伴い、現在の名称に変更となった。
現在地への移転当初の目標は、外国産樹種の導入による樹木見本園の造成であった。そのために外国の植物園や研究所などとの種子交換により、マツ属を始めとする多くの樹種が集められた。1955年以降、タケ・ササ類に関する試験、マツ属の生育調査および交雑試験が行われたが、1970年代以降は、マツ枯れ被害の増大に伴い、マツノザイセンチュウの研究や被害の抑制に関する研究、マツ属の生育に関する研究を中心に行った。
現在は、樹木園および見本林園の再整備を進め、マツ属の成長量や気象の観測など基礎データを蓄積するとともに、二次林の成長量、植生変化についても調査している。京都大学本部から北へ5kmと交通至便で、京都大学はもとより、他大学、他機関からも研究・実習フィールドとして広く活用されている。

環 境

本試験地は北緯35°04′、東経135°46′、海抜109〜225mに位置する。地質は古生層に一部新洪積層が混ざり、母材は砂岩、粘板岩からなる。土壌は浅く、酸性で養分物質に乏しく、土壌型はBA〜BDに属する。年平均気温は14.6℃、年降水量は1,582mmである。例年冬季には数cmの積雪が数回見られる。1971年から2000年の間に記録された最高気温は40.0℃(1994年8月)、最低気温は-10.7℃(1977年2月)であった。
総面積の65%はヒノキ、アカマツに広葉樹が混交した天然生林で、28%が外国産樹種を主とした人工林、7%が見本園、苗畑、建物敷等である。天然生林は、かつてはアカマツ林であったが、1970年代以降にマツ枯れの被害が拡大し、1990年代前半には大半のアカマツが枯死したために、現在では樹齢100年前後のヒノキが優占した林となっている。広葉樹はコナラ、ソヨゴ、ネジキ、リョウブ、ヒサカキ、コバノミツバツツジ、モチツツジなどである。

コナラ ソヨゴ モチツツジ
コナラ ソヨゴ モチツツジ

研 究

外国産マツ属の生育と交雑育種
ダイオウショウの雄花
ダイオウショウの雄花
本試験地では、世界各地に分布する約100種のマツ属のうち、85種が生育している。ガラス室内で育成されている一部の種を除いて、大半は野外で育成されている。生育状態は、北アメリカ東部およびアジア東部原産種は比較的良く、北アメリカ西部およびヨーロッパ原産種は生育の悪い種が多いなど、原産地による生育状況の違いが明らかになっている。
マツノザイセンチュウに対する抵抗性は、北アメリカ東部原産種で強く、北アメリカ西部およびメキシコ原産種は弱いなど、その違いが明らかにされている。収集育成されたマツ属を利用して、1960年より100余通りの組み合わせについて種間交雑の可能性が調べられ、創出した14F1雑種の生育、形質が調べられている。

タケ類の開花周期
モウソウチクの花
モウソウチクの花
タケ類は見本園に14属88種が収集育成されている。タケ類は開花周期が数十年と長く、実生から開花までの期間を正確に確認できた例はわずかしかない。本試験地では、1979年と1997年にモウソウチクの67年目の開花を確認している。この開花したモウソウチクの種子から、次世代の育成を進めている。開花周期の確認はできていないが、1998年春にミクラザサ、1998年秋から2000年春にかけてナリヒラダケが開花した。このうちミクラザサについては、開花周期の解明のために、次世代の実生を育成している。

都市近郊の二次林
都市近郊林研究プロット
都市近郊林研究プロット
ヒノキが優占する本試験地の天然生林は、かつては隣接する地区の薪炭林として利用され、試験地への移管時(1949年)には、アカマツと広葉樹を主とする森林であったと考えられる。
近年、「里山」とも呼ばれるこのような二次林の存在意義が、森林利用や生物多様性の観点から見直されている。里山は本来、伐採や落ち葉かきなど定期的に人為攪乱が加えられることにより維持され、その環境に特有の多様な生物が生息していたが、生活・生産様式の変化に伴って放置され、極相林へと遷移が進行している。そして、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。
本試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて調査している。
2000年度からは、林相別に固定調査区を設定し、天然生林の成長量ならびに動態調査を行っている。

種子交換
交換用種子
交換用種子
世界各地の植物園や研究機関の相互協力のもとに、それぞれが採集した植物の種子を無償で提供しあうもので、毎年、提供可能な種子のリストを交換し合い、その中から希望する種子の発送を依頼する仕組みである。現在、上賀茂試験地では約120ヶ所の機関と種子交換を行っている。

外国産樹種の導入・育成
メタセコイアとラクウショウの気根
メタセコイアとラクウショウの気根
本試験地では、海外の植物園、研究機関との種子交換によって、これまで数多くの外国産樹種を導入し、本試験地の環境下での生育状況を調査してきた。多種を集めることを目標とした模索的な初期の導入期を経て、現在は見本林園の充実と再整備を目的に、マツ属、ツツジ科、ブナ科、カエデ科などを中心に導入を進めている。これまでに収集された樹種は105科、380属、4,300種におよぶが、半数は発芽に至らず、発芽しても環境への不適合や病虫害などによって枯死するものが多かった。現在生育しているのは99科、350属、750種である。その中で生育の優れたものは、ツツジ科、バラ科、メギ科などの花木類や、マツ、モミ、ヒノキ科に属する高木種で、高木種は構内の見本園だけでなく、見本林、実験林として植栽されている。
1950年に、アメリカから日本に送られたメタセコイアの苗木100本のうち、3本が構内に植栽され、現在では樹高が40mに達している。

教 育

本試験地は京都大学本部から北に5kmで、電車や車で20〜30分と交通至便であることから、京都大学をはじめ、多くの教育・研究機関からの利用がある。樹木の識別、植物の観察、森林内の植物や動物の生態調査、土壌物理学、庭園管理や樹木剪定などの実習、小学校等の環境教育やネイチャーゲームの講習、学内の新入生ガイダンスや技術職員研修など、その利用内容は多岐にわたる。また、2000年に設定した自然観察コースを利用して、一般市民を対象とした自然観察会を開催している。

実習の様子1 実習の様子2 自然観察会の様子
左:樹木識別実習 中:樹木剪定実習 右:自然観察会

施 設

事務所
事務所 講義室
事務所 講義室
事務所には事務室と講義室があり、講義室は学生実習等に利用されている。

実験棟
実験棟 実験室
実験棟 実験室
実験棟には研究室と実験室がある。実験室には電子天秤、乾燥器等があり、試料の処理などに利用されている。

標本館
標本館 標本館の内部
標本館 標本館の内部
1959年に建てられた標本館は、外壁が丸竹で作られていることから「竹の家」とも呼ばれている。第二次世界大戦以前に、樺太、朝鮮、台湾を始め、各研究林から収集された樹木の材鑑標本が5千点、種子標本が700点など、総計約1万点の標本を有する。マツ類の球果・種子・針葉が系統的に整理されているほか、モウソウチクの地下茎の形態標本や竹稈、竹製品の収集がある。

ガラス室
ガラス室の外観 ガラス室の内部
ガラス室 ガラス室の内部
1961年に設置され、メキシコ及び東南アジア原産のマツ属を中心に約130種の樹木を育てている。現在はボイラーを稼動させていない。

試験地へのアクセス

京都市街地からのアクセス 最寄交通機関からのアクセス
京都駅からの経路
地下鉄利用の場合
京都駅から地下鉄烏丸線で国際会館駅下車。 京都バス40系統「京都産業大学行き」で京都精華大学前下車、徒歩約10分。 または地下鉄国際会館駅より車(タクシー)で約5分、徒歩で約30分。
市バス利用の場合
京都駅から京都市バス17号系統「錦林車庫ゆき」で出町柳駅前下車。 叡山電車に乗り換え、鞍馬行き(または二軒茶屋行き・市原行き)で、京都精華大前駅下車徒歩10分。


京都大学フィールド科学教育研究センター
里域ステーション上賀茂試験地

〒603-8047 京都市北区上賀茂本山2
Tel:075(781)2404 Fax:075(723)1262
e-mail:kamigamo@は画像です。お手数ですが、送信時には直接ご入力下さい。kais.kyoto-u.ac.jp