芝田研究員が 2019年度日本地理学会賞ー優秀論文部門ーを受賞

 受賞論文は、「ナミビア北東部ブワブワタ国立公園における住民の生業活動と植生の関係」地理学評論,第91巻第5号
 
 これまで地理学の視点で、自然と人との相互作用性や共生の在り方について研究業績を重ねてきた芝田篤紀研究員。今年度から本ユニットに参加し、人工知能による深層学習など最先端科学技術を用いた手法も加え、地球環境問題の解決に資する新たな研究に着手しています。
 今後について、芝田研究員は「地理学を学び、実践するなかで培ってきた地球環境に対する「総合的・俯瞰的」な研究姿勢を活かしながら、ユニークかつ意義のある成果が出せるよう精進してまいります。」と抱負を語っています。

 (以下、受賞の講評を地理学会のHPから引用します)

 本研究は,アフリカ西南部に位置するナミビア共和国北東部のブワブワタ国立公園で生活するクエの人々と自然環境との相互関係について,実証的に明らかにした論文である.対象地域での計4カ月間のフィールドワークでは,参与観察と聞取りによる定性的な調査に加え,植生調査,地形測量といった定量的手法を用い,国立公園制定後の住民生活環境の変化や周辺植生への影響を明らかにした.住民の生業活動と植生の関係を多角的に考察している点が評価される.また,伝統的な農法も周囲の環境に配慮された形で実施されていることなど,在地の知と活動が新たな状況で自然環境の管理に貢献している点を見出しており,興味深い.本研究の大きな特徴といえるハイブリッドな手法や立場をとることで,対象地域における人間と自然との関係を客観的かつ動態的に記述することに成功しており,グローバリズムと伝統社会との対比という枠組にもとづいた意欲的な実証研究に仕上がっている.人文地理学と自然地理学の融合がうまく図られた論文で,地理学研究において大きな意義が認められる.

https://www.ajg.or.jp/awards/ 日本地理学会/学会賞