本部のある京都から直線距離で約1200q、日本の最北東部である道東に位置する京都大学北海道研究林から、日々移りゆく研究林内の森林やその周辺で見られる季節現象、生き物などの姿を、日常の業務を織り交ぜながらお伝えします。

(2010年4月〜) →過去の日誌を見る
2010.9.27  とうとう氷点下
昼間は暖かい 今年はマユミは豊作
天高く マユミは豊作
 【標茶】今朝の最低気温は−0.6℃。
 とうとうこの季節がやってきました。
 とはいえ、昼間は日差しがぽかぽかとして心地よい天気。
 林内では今年はマユミの赤い実が目につきます。

 
 
2010.9.21  標茶は静かです
ぬかるんでます きのこが同定できたことはほとんどない
釧路川の源流(のひとつ) ツバナラタケ?
 【標茶】いきなり涼しくなりました。
 暑くて虫が多くて不快だった各種調査も快適な山歩きに変わります。
 秋の訪れとともに、森も食欲の秋とばかりに様々な木の実やキノコが見られるようになってきました。2枚目の写真はボリボリと呼ばれるナラタケの仲間の様に見えるのですがいかがでしょうか?キノコの同定は素人には厳しいものがあります。

 合っていれば食べられますが、命がけの答え合わせはできません。

 
 
2010.9.13  実習week終了
追い込み中 まさに青空教室
追い込んで 青空教室in牧草地
今度は森の中 発表お疲れ様です
森林土壌と牧草地の違いを観察 森・里・海それぞれの観点から発表
 研究林実習Vに続いて北海道大学の厚岸臨海実験所と京都大学の北海道研究林標茶区を拠点に森里海連環学実習が行われました。
 今年は海から森へと例年とは逆の順番となりました。物質の循環は森→海もあれば海→森もあるので、もしかしたらいつも以上に海から森への連環が伝わりやすかったかもしれませんね。
 学生は京大と北大の混成ですが、試行錯誤しながらも協力して、最後には立派なレポートとそれ以上の思い出ができたのではないでしょうか。
 実習が終わると秋本番です。

 
 
               
2010.8.29-9.5.   夏の実習
多世代住宅のごとし 1個だけでかい
カツラの木を測る 霧多布湿原のヤチボウズ
将来有望です 火山灰の重なりが観察できました
雷別の自然再生事業を見学 林内での土壌調査
とりあえず掛かり木になる 人海戦術はあなどれない
グイマツF1の間伐 みんなで枝払い
がまん坂。我慢して登り切れる人はいるのか? 集合写真にならなかったのが残念なところ
青空の下、西別岳を登る 西別岳頂上
 夏の学生実習(「研究林実習V 夏の北海道」「北海道東部の人と自然」)が行われました。
 例年だと爽やかな天気で京都の学生は喜んでくれるのですが、今年は京都から猛暑を連れてきたのか北海道も暑い。連日30℃を超え、真夏を思わせるような暑さの中での実習となりました。
 土壌の調査では後半雨が降りましたが、白糠での天然林調査から西別岳登山まで濃密なスケジュールを無事こなし、北海道の自然を肌で体感していきました。
 続いて森里海連環学実習も始まり、北海道研究林では賑やかな日々がもう少し続きます。

 
 
2010.8.6  釣り船
距が渦を巻く 標茶はこっちの方が目に付く
ツリフネソウ キツリフネ
 【標茶】盛夏の林内は緑が主役。
 でもよくよく見るとあちこちにいろんな花が咲き、暑い暑いと口癖のようにぼやきながらやってくる職員を迎えてくれます。
 きょうはツリフネソウとキツリフネが並ぶようにして咲いているのを見かけました。
 特徴的な形が印象的な花。舟に似ているということで名前がつけられた様ですが、なんとも不思議なその姿。一瞬の涼を運んでくるそよ風に揺られていました。

 
 
2010.8.1  草木染めin標茶
枯れそうなサクラの木が多いです 小さな魔女
オオヤマザクラの樹皮で挑戦 愛情は負けてません
ひゃっこい クルミはえらく濃い色でした
どきどきの瞬間 完成作品を持って「はいポーズ」
 【標茶】白糠と同じくミニ公開講座が標茶でも開かれました。
 標茶ではオオヤマザクラの樹皮とオニグルミの実で草木染めをしました。どちらも草木染めの材料としてはなじみのある樹種なので、いい色がでるのではないかとおのずと期待が高まります。
 オニグルミは青い実を使ったのですが、煮出しているうちに真っ黒い液ができ、布も茶色系の深い色に染まりました。その分模様もはっきりです。材料とは違った色に染まり、また使っている内にだんだんと色が変化して落ち着きのある色になるのも草木染め魅力です。
 近くに住んでいても来るのは初めてという方が多いようでしたが、また気軽に散策しに来てください。

 
 
2010.7.24  草木染めin白糠
森はもっともっと面白い お母さん達の方が夢中に
構内で森の観察&材料集め どんな模様ができるかな
うどんをゆでている訳ではない 今回は薄め。大人の渋さです
愛情込めて染色中 完成作品を持って「はいポーズ」
 【白糠】町内の小学生たちが来研してミニ公開講座が行われました。
 今回のメニューは自然観察と草木染め。草木染めは子ども達のセンスでカラマツの種(まつぼっくり)とホオノキの葉っぱで染めました。どんな色が出るかスタッフも知らないので楽しみ半分、不安も半分。1回だけの染色で、色鮮やかにとはいきませんでしたが、優しい色が出ました。
 夏休みは始まったばかりですが、宿題は一つクリアですね。

 
 
2010.7.8.   蝦夷梅雨
今年もたくさんできました あまり気持ちがいいものではない
オニグルミ 川の中での調査
 【標茶】日本各地でゲリラ豪雨が発生しているそうですが、こちらは相変わらずすっきりしない肌寒い天気が続いています。
 林内では草刈りが進んでいます。いつもは暑さとの戦いで体力的にきつい作業ですが、ことしは逆に快適な環境で作業ができます。
 一方で川ではハリガネムシの調査も行っています。林内には大きな川はありませんが、細い流れには細い流れなりの生態系が存在しています。虫が苦手な人にはこちらの方がきつい仕事かもしれません。

 
 
2010.6.24.   白と黒
「元気を出して」「心の痛みの分かる人」 「恋」「呪い」
オオアマドコロ クロユリ
 【白糠】先週、気持ちよく晴れたと思ったら、今週は小雨と霧の白糠です。
 オオアマドコロとクロユリを見つけました。
 色も形も対称的だなぁ・・・っと漠然と思っていたら、花言葉も全く違うベクトルを向いていました。興味のある方は各自で調べてみてください。
 さて、オオアマドコロ。一見ナルコユリによく似ていますが、見分け方の一つに花と花柄接点に緑色の突起の有無があります。機会がありましたら手にとって見てください。緑色の突起がないのがオオアマドコロです。

 
 
2010.6.22.   木工教室
青空の下で 電動工具はお手伝い
青空の下で作る 思った通りに作るのは大変です
 【標茶】恒例となった沼幌小学校の木工教室が行われました。
 子供たちも高学年ともなれば大分手慣れてきたようで、職員や先生の手を借りながらもしっかりしたものを作っていました。中には一人では抱えきれないような超大作を作った児童も。
 個人的には今年も糸鋸の歯を一本折ってしまったのが悔やまれます。
 9人と少ない人数ではありましたが、学年を超えて協力して取り組んでいました。

 
 
2010.6.21.   白いブラシ?
これもサクラ 一輪一輪見ると確かに・・・
シウリザクラ 満開です
 【標茶】構内ではシウリザクラが満開です。
 一見サクラというよりもブラシの様に見えますが、小さくて白い花が穂状に密生しています。
 前回のエゾノウワミズザクラよりもさらに「サクラ」らしくない木です。開葉は早いのですが、開花はここにあるサクラの中では一番遅いです。
 タネによる有性生殖と根萌芽によるクローン繁殖をする樹種で、林内では比較的まとまった集団として見ることができます。

 
 
2010.6.4.   緑陰
エゾシカの影響? これもサクラ
バイケイソウ群落 エゾノウワミズザクラ
 【標茶】好天は数日で結局雨続きの標茶です。
 それでも日ごとにぐんぐん生長する植物もあり、林内の風景はめまぐるしく変わっていきます。
 特にバイケイソウは最近一層勢いを感じます。
 毒があるということでエゾシカがあまり食べないこともあってか、林内では写真のようにかなりまとまった群落を作っています。
 サクラもオオヤマザクラから次のエゾノウワミズザクラにバトンタッチしてきました。
 オオヤマザクラが開葉と開花が同時期なのに対して、こちらは葉っぱが開いた後での開花で、緑陰に小さな白い花がまとまって咲きます。

 
 
2010.6.1  山笑う
まだサクラが見られます オオバナノエンレイソウ
オオヤマザクラがまだ見られます オオバナノエンレイソウ
目に青葉 金色の野に降り立つべし
構内は新緑の季節 一面のタンポポ
 【標茶】ようやく晴天が訪れました。日差しがあればとても暖かく、季節は確実に移っていることを実感します。
 しかし、5月の最終日は氷点下を記録。やはり北海道です。
 林内はサクラやケヤマハンノキなどを皮切りに次々と開花、開葉を迎えています。
 まさに
「春山淡冶(たんや)として笑うが如し」ですね。

 
 
2010.5.25.   曇り空と白い花
ニリンソウ ツボスミレ
ニリンソウ ツボスミレ
 【白糠】どんよりとした天気が続いています。
 現在、構内ではあちらこちらでニリンソウが白い玉となって咲いています。
 気のせいか、薄暗い天気の方が白い色は映えて見えるような気がします。

 
 
2010.5.18.   植樹祭に参加しました
地面に向かって打つべし 初夏?
ヤナギの枝を差しました ミズバショウの花が見頃
 【白糠】白糠町の植樹祭に参加してきました。
 100年後の森づくりというよりもバイオマスに期待しての植樹で、生長の早いヤナギを植えました。数年後には収穫されてエタノールになっているのでしょうか。
 新しいエネルギーに期待したいところです。
 大勢で地面に向かってハンマーで枝を打ち込んでいる姿は、ぱっと見、木を植えているようには見えない不思議な光景でした。
 白糠の林内はエゾヤマザクラやミズバショウ、エゾオオサクラソウなどが咲いて、活気にあふれています。

 
 
2010.5.17.   ライトセンサス始めました
気合いが入っています 動物がいる写真がとれますように
記念すべき第1日目スタート ライトの先にシカは・・・いません
 【標茶】エゾシカのライトセンサスを始めました。
 エゾシカによる農林業への被害が深刻となっている昨今、研究林内にはどのくらいエゾシカがいるのか知るための指標となることを期待します。
 周りが牧草地に囲まれているため、時間によって移動する個体が多いとは予想されますが、どんな結果が見えてくるでしょうか。
 ただ、気合い入れて臨んで全くエゾシカに出会えないとちょっと寂しい気もしなくもない・・・。
 初日は20頭/20.6qという結果でした。

 
 
2010.5.11.   うれしい植物
エゾエンゴサク ギョウジャニンニク
エゾエンゴサク ギョウジャニンニク
 【白糠】だんだんと暖かくなりました。
 小鳥たちが騒がしい今日この頃です。
 構内で見つけました。2つとも見つけて「うれしい」植物です。

 
 
2010.4.23.   日だまりにて
アズマイチゲとキバナノアマナ はなびらの様で実はがく
アズマイチゲとキバナノアマナ がくのような緑の部分はありません
 【白糠】構内で咲いていました。キンポウゲ科のアズマイチゲとユリ科のキバナノアマナです。
 キンポウゲ科にはアズマイチゲのように花びらのように見えるものが実はがくで、花の後ろ側にはがくらしい緑の部分がないものがあります。
 キク科の植物と似ていますけど、そういえばキク科のタンポポの後ろにはしっかりと緑色のがくがありますものね。

 
 
2010.4.8.   雪の入山式
入山どころではありません 1日で風景が変わります
雪景色の入山式 フクジュソウも元気
 【標茶】入山式を行いました。前日からの雪で、近年では珍しく雪景色の中での入山式となりました。
 雪のように白く清らかな心で仕事に臨めますように。
 翌日は快晴。冬の間よりも明らかに太陽の光が強くなってきているのを感じます。
 気づけば、フクジュソウも次々と花を咲かせ始めていました。

 
 



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