本部のある京都から直線距離で約1200q、日本の最北東部である道東に位置する京都大学北海道研究林から、日々移りゆく研究林内の森林やその周辺で見られる季節現象、生き物などの姿を、日常の業務を織り交ぜながらお伝えします。

(2010年10月〜) →過去の日誌を見る
2011.3.23  春よ来い
陽だまりに咲くフクジュソウ キタコブシの花芽
陽だまりに咲くフクジュソウ キタコブシの花芽
 【標茶】東北地方太平洋沖地震以降、更新が滞っておりましたが、北海道研究林は今のところ特に被害はありません。
 まだまだ氷点下に冷え込む寒い日は続いており、構内ではまだ雪が残っている箇所が大半ですが、陽の光は力強さを増し着実に春が近づいていることを感じさせてくれます。
 日当たりのよい所では先々週あたりからぽつりぽつりとフクジュソウが咲き始めています。いつも以上に春の訪れが待ち遠しく感じる今日この頃です。
 被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

 
 
               
2011.2.21-27   冬の実習、無事終了!
覚えて、忘れてを繰り返す スキーが使えるぎりぎりの積雪
樹木識別の講義 スキーで歩きながらの樹木実習(白糠)
ミズナラばかりの林分・・ 釧路は製紙業が盛ん
ミズナラ・カシワ・雑種形林分で毎木調査(標茶) 王子製紙の工場見学
標茶では珍しい林分です 効果のほどは・・・
ヤマナラシ林を観察(標茶) トドマツのシカ害防除(標茶)
山の天気は変わりやすかった アイヌの人はお茶にして飲んでいたそうな
樹氷の藻琴山 川湯のイソツツジ群落
 冬の学生実習(「研究林実習W 冬の北海道」「北海道東部の厳冬期の自然環境」)が行われました。
 実習前は気温が高く、特に白糠は山でもあまり雪のない実習となりました。そんな中、連日、標茶・白糠の林内で冬の樹木の観察や雪氷調査、野生動物の痕跡調査など、冬ならではの様々な調査をしました。
 最終日には藻琴山と川湯にも行き、山岳や火山といった環境下で見られる特異な植生も観察できました。
 ゲレンデとは違う、自然の中でのスキーの取扱いには悪戦苦闘していましたが、それなりに楽しんでいたようです。
 学生も帰り、標茶に静けさが少しだけ戻ってきました。春はもうすぐです。

 
 
2011.2.8  身近な森の機能学ぶ
締めは研究林を宣伝してもらいました 河畔林の役割
森林に関わる窒素の流れを説明 河畔林の機能を紹介
 【標茶】5日に町内で「未来へつなぐ森と水のセミナー」が行われました。
 国際森林年を記念して町の林業推進協議会が開催した講演会で、町内外から約100人が集まり、地元の森林と水とのつながりについて理解を深めました。
 基調講演では当センターのコ地直子准教授が窒素の循環に焦点を当てて、土壌を含めた森林の浄化機能について紹介しました。その中で酸性降下物による影響やそれを解明するための長期的なモニタリングの重要性について強調しました。
 身近な存在にある森林を、普段とは違った視点から見直す機会になりました。

 
 
2011.2.3  蒼い絶景
一本の木さえ絵になる 空まで登る
凍った屈斜路湖を背に 澄んだ空
樹氷をまとう 今年は雪が少ない
樹氷をまとったトドマツ 雪は少なめです
 【標茶】学生実習の下見で藻琴山へ行ってきました。
 雲ひとつ無い快晴で今年一番のポカポカ陽気(と言っても氷点下)。
 仕事であることも忘れてしまいそうなひとときでした。
 ここ数年、実習では5割程度の晴天率となっている藻琴山。今年はどんな表情を見せてくれるでしょうか。

 
 
2011.1.25  雪の降る日はリターを分ける
サンプルに埋もれるように 流れる時間にも埋もれるように
サンプル山積 今年はヤチダモ多め?
 【標茶】「冬の間は何をしてるの?」
 これ、よく聞かれます。
 冬場、山に入れなくなると待っているのは、夏場に集めたデータやサンプルの処理です。
 これはリタートラップで回収したサンプルを分別している様子。
 ピンセットを相棒にひたすら分けて、数えて、分けて、数えて・・・。
 外ではしんしんと雪が降っています。
 降り積もる雪、降り積もる時間、そして大量のサンプルに埋もれてきょうも仕事しています。

 
 
2011.1.22  冬の森を歩く
初めはお勉強 ヤドリギは子ども受けが悪い
まずはお勉強 ヤドリギは子ども受けが悪い
キツネの足跡追跡は谷に阻まれました 尻滑りになると元気いっぱい
キツネの足跡を追跡 お楽しみタイムの尻滑り
 【標茶】しべちゃアドベンチャースクール「冬の雪山活動」が行われました。
 初めに管理棟で勉強したあとは、スノーシューを履いていざ林内へ。シカやキツネの足跡や寒さに耐える木の姿などを観察しました。慣れないスノーシューに何度も転んだりして、途中ちょっぴり疲れた様子でしたが、最後にお楽しみの尻滑りを始めると元気復活して何度も滑っていました。
 今回はインフルエンザで高校が学校閉鎖となり小学生だけになりました。冬山は楽しいですが風邪には気をつけてくださいね。

 
 
2011.1.13  いまさらですが
空気が澄んでいる・・・気がする オオワシが2羽
朝冴ゆる オオワシ
 【標茶】本年もよろしくお願いいたします。
 標茶はここ数日、氷点下20℃あたりまで冷え込む日が続いておりました。
 酷寒の毎木調査もようやく一段落。
 今朝は久しぶりの雪です。まだ20p程度しか雪はありません。学生実習の時までにはちゃんと(?)降ってくれているでしょうか。できれば構内には降らず、山だけに降ってもらいたいところです。

 
 
2010.12.22  赤銅色の月が出た
快晴に恵まれ 非常に寒かった
満ちつつ昇る月 皆既中の月は赤銅色
目には見えない世界 3年前は暖かかった
月の光 3年前の月食
 【標茶】12月21日の日没後、皆既月食を観測しました。
 2007年以来の皆既月食で今回も好天に恵まれました。1枚目の写真は7分間隔で撮影した写真を合成したもので、月が地球の陰に入っている状態(10枚目あたりまで)からだんだんと満ちていく様子が見られます。露出の調整で皆既中の写真は実際よりも明るく撮影しています。
 月食中は足下も見えないほど真っ暗でしたが、本来ならば満月の夜。月食終了後は陰ができるほど明るくなりました。
 前回は真夏の月食でしたが、今回は冬・・・寒かった

 
 
2010.12.16  しばれた
丸太でできた日陰は寒い ところどころぬかるみが残る
丸太の検収中 凍った谷地
 【標茶】今朝は今季の最低気温を一気に更新する-16.1℃まで冷え込みました。
 いわゆる「しばれた」朝になりました。
 日中もプラス気温とはならず、うっすらと積もった雪がいつまでたってもなくなりません。
 そんな中での丸太の検収。日陰での作業に体の芯から冷えてきます。

 
 
2010.12.10  穏やかな山の神の日
今年も無事でした 大きく育て
山の神 エゾマツの実生
 【標茶】今年も山の神の日が訪れました。
 先日までの荒天が嘘のように穏やかな天気の下、1年間の無事に感謝しました。
 まだ山での作業は文字通り山となって残ってますが、来年も宜しくお願いします。

 
 
2010.12.7  野生動物の自動撮影
見てます 驚かせてごめん
センサーとカメラ キタキツネ
 【白糠】11月19日〜12月3日の間、赤外線センサーによる野生動物の自動撮影を行いました。
 林道を利用する動物のモニタリングが目的で、今回はエゾシカ、キタキツネ、エゾタヌキなどを撮影することができました。

 
 
2010.11.29  育つか枯れるか
倒木で僕の防寒着はぼろぼろです 鼠にかじられ根元がぼろぼろです
選木中 野鼠害にあったカラマツ
 【標茶】来年間伐する予定のカラマツ造林地です。
 間伐する木を決める選木という作業をしました。
 将来の森の姿を考える想像力が問われます。
 間伐をすることで、残した木を太くするというのが目的ですが、間伐しなければ、林床に光が差し込まず生態系や物質循環に悪影響を及ぼすとか、雪の害を受けやすくなるなど考えられます。さらに、この造林地に関しては野鼠の害もポイントになります。
 鼠に根元をかじられた木は養分や水分を吸い上げることができないため、野鼠害にあった木は残しておいても太ることができないか、近い将来枯れる可能性が高くなります。
 今のうちに切ってしまうか、主伐まで枯れずに育ってくれるか、悩みどころです。

 
 
2010.11.16  野鳥観察シーズン到来?
青空 大柄なコガラ
天高く 大柄なコゲラ
 【標茶】気温の低下が身にしみる今日この頃。今朝は-9.3℃と今シーズン一番の冷え込みとなりました。林内の木々もすっかり葉を落として、青空も夏よりもぐっと広がって見えます。
 そんな見通しの良くなった林内は、野鳥が見つけやすい環境といえるかもしれません。
 休憩中にも、ハシブトガラ、アカゲラ、コゲラなどを見つけました。ただし、あくまでも気温の低下が身にしみる今日この頃なので、防寒対策は怠りなく。

 
 
2010.11.10  柵ができました
無事冬を越せるか心配 レッドカーペットならぬ・・・
ネット張り中 オレンジカーペット
 【標茶】樹木の更新や植生の遷移に、エゾシカの採食がどの程度影響しているか調べるための試験区を作りました。
 柵の耐久性に不安もありますが、どのような結果が見られるか楽しみです。
 林内の紅葉は最終段階。カラマツの葉が雨のように降りしきっています。

 
 
2010.10.27  初雪の便り
西別岳も雪化粧 燃えるようなモミジの赤
西別岳も雪化粧 燃えるようなオオモミジの紅葉
 【標茶】ユキムシが飛んでいるなと思っていたら、早くも初雪が降りました。
 標茶区での10月の初雪は13年ぶりとなります。今回はまとまって降った地域もあるようで、西別岳も白く雪化粧していました。
 林内も白く・・・とはいきませんが、今年はオオモミジの紅葉が鮮やかです。本数は多くはないのですが、遠くからでもひときわ目立ちます。

 
 
2010.10.18  冬支度?
無事終えることができるだろうか 主は?
天然林毎木調査中 木のうろにドングリが!
 【標茶】秋になると始まるのが固定標準地調査。
 葉っぱが落ちてしまう前に天然林からスタートしました。
 最中、キハダのうろにドングリがありました。
 リスやネズミは冬に備えて木の実を蓄える「貯食」という行動をとるそうで、森林の更新にも一役買っているとか。鳥類ではカラ類、キツツキ類のほかカケスやカラスなども同様の貯食を行うそうですがここの主はどなたでしょう?若干セキュリティー甘めです。

 
 
2010.10.14  味覚の秋
怖くて食べられず マイタケ
ムキタケ マイタケ
 【白糠】今年はキノコ豊作ですね。
 仕事をしている場合ではない!
 マイタケ探しにいくべし。
 そんな悪魔のささやきが聞こえてきます。

 
 
2010.10.12  夏秋同居
アキアカネ ヒマワリ
アキアカネ ヒマワリ
 【標茶】夕焼け小焼けの赤とんぼ〜♪
 童謡「赤とんぼ」でおなじみのアキアカネが飛んでいました。
 秋だな〜と実感する一瞬ですが、構内ではヒマワリも咲いています。
 地球温暖化を思わせる状態ですが、単純に植える時期が遅れたことが原因と思われます。でも霜も降りるこの時期の北海道でヒマワリが咲いている風景はなかなか貴重です。

 
 
2010.10.5  秋の足音
カラフルです 歩いていて気持ちいいです
落ち葉の絨毯 明るい林内
 【標茶】日に日に紅葉が進み、林内は秋の装いとなってきました。
 夏の間は日の光を遮って涼を与えてくれた森も、今度は明るく木漏れ日の暖かさを教えてくれるものに変わります。
 たくさんの落ち葉は仕事で相手をしていると大量のサンプルとなり、処理に手間のかかるなかなかやっかいな存在ですが、多くの命を育む循環には欠かせません。

 
 



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