地域や企業との連携による新しい教育をつくる

2021年度から、新たな取り組みとしてフィールド研教員が主催するILASセミナー「森と暮らしをつなぐデザイン」を実施しました。

このセミナーは、パナソニック株式会社、VUILD株式会社、そして芦生研究林のある南丹市美山町の森林組合と連携し、新しい教育プログラムの構築を目指して実施しました。

持続可能な社会

それは大学1年生だけでなく、多くの人また企業にとっても、想像しにくいものです。

環境保全と経済活動の両立はこれからの私たちにとって不可欠ですが、これをどのように実現していけばよいのか?生産地と消費地との繋がりとは?

本教育プログラムでは、それらを学ぶために必要な、

多様な人との対話・体験による深い学習により、SDGsの枠組みを理解し、自分たちにもできる活動を描く実践的な学習プログラムを企業や地域との協働で作り上げました。

テーマはズバリ、

「持続可能性」とは何か?デジタルファブリケーションによる生産地(美山町)と消費地(京都市)の関係性再構築の可能性を検討する。

です。

本教育プログラムを構成する3要素は、

1. 対話型講義
生態学を基礎とする、持続可能性についての講義•Zoom、対面での意見交換

2. フィールドワーク

京都府美山町にて、林業や地域づくりについて現地でキーパーソンから学ぶ。

3. デザイン・制作
Shopbotを使い、学生が自ら考えた製品を作り上げる。

で構成されています。

講義では新型コロナ感染症の影響で、対面での講義が難しい時もありましたが、Slackやzoomを使ったオンライングループワークを駆使して、できる限り学生たちのコミュニケーションを促しました。

さらに、VUILDのスタッフによる制作の指導と、パナソニックの若手社員も講義に参加し、多様な立場の参加者が対話しながらものづくりを進めていきました。

フィールドワークでは、新型コロナの影響でプログラムが短縮されたため、芦生研究林には入ることができませんでしたが、芦生研究林のある美山町の自然や伝統文化を学びました。

美山町森林組合に協力いただき、林業の現場を見学させていただきました。また美山町の木材を購入し、木工製品の制作を行いました。

デザインと制作のプロセスでは、4つのグループに分かれて大学生とパナソニックの社員が持続可能な、生産地と消費地をつなぐ製品づくりを検討しました。

VUILDとの連携により、Shopbotという新しい工作機械を使うことで、コンピューターで描いたCGから木材を自在にカットし実際の形にしていきました。

これはデジタルファブリケーションという新しい技術です。木工製品は製材や工作の工程で多くの人の手がかかることで価格も高くなりますが、このShopbotを使うことで、消費者が思い描く「欲しいもの」をそのまま手に入れられるハードルが大きく下がったことを実感しました。

最後に、各グループの制作物とデザインに込めた持続可能なものづくりの考察について発表しました。

講義がはじまた多段階では、参加した学生にとって持続可能性は遠いことであったり、うわべだけのもの、という考えがあったようですが、この教育プログラムを通して、美山のこと、自分たちの暮らしのこと、作ること、使うことについて深く考え、ものづくりを通じて持続可能な社会についての実感が少し持てたという感想を述べていました。

本教育プログラムの教育効果として、

  1. ものづくりに携わる人々との交流を通して、地域への愛着や本当に欲しい製品について深く考えることができた。
  2. 持続可能性について深く考え、それを実現していくための複雑さ・困難さを体験した。
  3. 多様な立場の人たちと対話し、共にものづくりを経験することで、社会に参加することの意義に気づいた。

ということが挙げられます。

フィールド研のILASセミナーでは、今後も地域や企業と連携した、森里海連環学に基づく教育プログラムを実施していきたいと考えています。

参加した学生や企業の社員からの感想

  • サステナビリティを確保するにはできるだけ資源を無駄にせず、 大切に使うことが重要。
  • 持続可能性についてこれまでにないほど深く考えることができた。
  • 木が育つ、切る、活かすという一連を現場で体験でき、持続可能性のイメージがぐっと身近なものになった。
  • 学生さんと交流させてもらうことで 新たな刺激も得られた。自身の学びの結論は、持続可能性とは、まず楽しくあるべきということ。 そのためのうまい仕掛けをつくることが必要と感じた。 

学生が製作したもの

美山のディフューザー。美山町の針葉樹からとった木材とエッセンシャルオイルを使用。
 カヤブキ三兄弟 (メニュー立て・土産物の商品展示用)
きのこ椅子・きのこシェルフ 
願掛けクスノキ(小物スタンド)

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