山の健康診断では何を測定するのか。

山の健康診断では以下のようないくつかの指標を測定して、山の状態について考える予定です。

  • pH
  • 電気伝導度 (Electric Conductivity; EC)
  • 無機態窒素(アンモニア態窒素・硝酸態窒素)
  • リン酸イオン
  • 主要陽イオン (カルシウム・マグネシウム・カリウム・ナトリウム)
  • 主要陰イオン (塩化物イオン・硫酸イオン)
  • 溶存有機態炭素・溶存有機態窒素

それぞれの詳細は以下の通りです。

pH

水素イオン濃度のことです。河川水の水素イオン濃度によって、酸性・アルカリ性などの性質が分かります。

pHの値pH 1pH 7pH 14
水素イオン(mol/L)0.110-710-14
性質酸性中性アルカリ性

電気伝導度 (Electric Conductivity; EC)

河川水に溶け込んでいるイオンの量を示します。溶け込んでいるものが多いほど、大きい値を示します。

無機態窒素(アンモニア態窒素・硝酸態窒素)

<アンモニア態窒素>
土壌中で微生物による分解などで生成されます。生物に必須の物質ですが、過剰になると水生生物・水資源には不都合です。通常、上流の河川水ではほとんどみられません。

<硝酸態窒素>
土壌中で微生物による分解などで生成されます。通常、上流の河川水ではほとんどみられませんが、大気からの窒素降下物や伐採などの攪乱によって濃度が上昇することがあります。

リン酸イオン

土壌の風化により供給されます。生物の成長に不可欠で、ほぼ常に不足しており、供給されると生物がいち早く利用するため、上流の河川水にはほとんどみられません。

主要陽イオン (カルシウム・マグネシウム・カリウム・ナトリウム)

おもに土壌から風化によって供給されます。土の中を通る時間が長いほど、濃度は高くなります。

主要陰イオン (塩化物イオン・硫酸イオン)

<塩化物イオン>
おもに海塩を起源とします。海からの距離が近いとたくさんの海塩を含んだ降水の影響を受けることがあります。

<硫酸イオン>
地質や火山の影響を受けます。

溶存有機態炭素・溶存有機態窒素

土壌を浸透する過程で吸着されたりして濃度は低くなります。土壌の表面が荒らされた場合などに検出されます。しかし、今回はろ過した水を対象としているため、非常にわずかであると考えられます。

詳しく知りたい方へ

参考文献

・身近な水の環境科学 日本陸水学会東海支部会 編集 朝倉書店

・見る知る調べる水 身近な水環境全国一斉調査10年誌編集委員会 編 全国環境研会誌事務局