北海道研究林では研究補助として定期的に渓流水の採取を行っています。
渓流水中に含まれる成分を測定することで窒素など生態系内の物質循環を調べたり、生物由来のDNAをもとにどんな生物がいるか知ることができます。
気候変動や植生の変化も水質に影響を及ぼしうるものですが、それを把握するには長期にわたるモニタリングが必須です。20年以上継続している調査もあり、今後の研究活用が楽しみです。
北海道研究林では研究補助として定期的に渓流水の採取を行っています。
渓流水中に含まれる成分を測定することで窒素など生態系内の物質循環を調べたり、生物由来のDNAをもとにどんな生物がいるか知ることができます。
気候変動や植生の変化も水質に影響を及ぼしうるものですが、それを把握するには長期にわたるモニタリングが必須です。20年以上継続している調査もあり、今後の研究活用が楽しみです。
白糠区での天然林調査を行っています。
森林の動態と多様性維持機構の解明のため、20年前に谷から尾根にかけて設定された3.6haの調査区内の樹木の樹種と直径と位置を調べています。
傾斜は標茶より厳しく崩れやすいため、緊張感もあり心身ともに疲れがたまるのですが、先日の調査は気候が良く、オオモミジやハウチワカエデといった紅葉も美しく、いくらか疲労も軽減されたような気がします。
多くのスタッフによって支えられ、長い期間続けられてきた調査です。個人的には15年ぶり。うまく成果につなげられるよう、できるだけの努力をする所存です。
標茶区のある北海道東部では季節凍土が発生します。
気温が低く、断熱効果のある積雪が少ないと、土壌の熱が奪われて地表面から徐々に凍っていきます。
土壌凍結の進み方を観測するためにメチレンブルー土壌凍結深度計を使用しています。メチレンブルー土壌凍結深度計は、凍結すると青から無色透明になるメチレンブルーの特性を利用したもので、地表下で0℃となっている面の深さを知ることができます。
現在の深さは約35cmで例年より若干浅めのように感じます。ちなみに今朝の最低気温は-18.1℃(ぬるい)、積雪は37cmでした。
凍結の進み方は気温だけでなく積雪状況による部分も大きいようで、年によって変動があります。まとまった雪が降る時期が遅れると凍結が進み、1月中の積雪が20cmに満たなかった2017年から2018年にかけての冬には56cmまで凍結していました。
森林域では土壌中の水分が凍ることで凍上が発生して植物の根がダメージを受けたり、樹木の水分通導を阻害したり、鉛直方向の水分の動態が変わることでそれに伴う物質循環に影響を及ぼすと言われています。
気候変動により冬期の気温が上昇したり、積雪の状況が変化すると季節凍土の発生状況も変化すると予想されます。それが森林の生態系にどういう影響を及ぼすのか、その指標とすべく、”しばれる”朝にも日々観測を続けています。
北海道研究林では2010年より赤外線センサーカメラによる野生動物の自動撮影調査を行っています。
野生動物の生息実態を把握するとともに、同じ場所、同じ方法で調査を継続することで野生動物の生息状況の変化などを観察しています。
10月の2週間、標茶の6地点で実施した調査ではエゾシカ、キツネ、タヌキ等が多く写っていました。加えて、ヒグマも2回撮影されました。ヒグマは低頻度ながらコンスタントに撮影されています。基本的には夜間に撮影が集中しています。業務で山に入る際には警戒はするのですが、遭遇例はほぼありません。
また、エゾシカの雄2頭が角を突き合わせていると思われる様子が撮影できました。調査の特性上、ただカメラの前を通過している画が多くなり、こういった行動が撮影できるのは貴重なものと思います。
秋の調査を進めています。
造林地の成長の様子を追跡する調査で、5年周期で調査区内に生育する樹木の直径や樹高を測定しています。
成長が止まる時期ということで秋に行っているのですが、落葉性であるカラマツが樹勢が衰えたためか、ストレスにさらされたためか、早々に葉を落としてしまい、生存しているか枯れているのか迷う場面が今年は多い気がします。
標茶区にて初夏の花観察会 北海道フラワーソン2022を開催しました。
北海道フラワーソンは北海道全域で5年に1回、同じ時期に開花している植物を探す市民参加型の調査イベントで、北海道研究林としては自然観察会の一環で参加を募って実施しました。
イベントには16人が参加し、研究林スタッフと一緒に林道脇、湿地、造林地、新植地などさまざまな環境で花探しをしました。普通に歩いていても目に留まらない小さな花も見つけ、観察会では101種の花(つぼみ、花終わり含む)を発見しました。
植物や鳥類などの目録の作成も業務で取り組んでいますが、草本植物は種数も多く、開催にあたっては職員で予習をして臨みました。初めて目にする花との出会いや、微妙な違いにも目を向けることで勉強になりました。
林内で観察される野鳥のリストを作成すべく、夏期に続いて、越冬期の鳥類調査を行いました。
調査はあらかじめ決めたルート上の5地点を往復、それぞれ10分間に観察できた鳥を記録します。
調査開始時点の気温は約-13℃。スノーシューを履き、雪に覆われた林道を歩きます。調査中はほとんど動かないのでペンを持つ手もかじかみ、音声録音用のレコーダーの電池もすぐに消費してしまいました。
寒すぎなのか事務所周辺ではよく見るハシブトガラやゴジュウカラなどの小鳥たちは姿をほとんど見せず、カラスが鳴くばかり(牧場の多い標茶はカラスが多い)。正直盛り上がりに欠ける調査になりかけましたが、終盤にオオワシの群れが出没しました。以前より標茶でオオワシやオジロワシを見る機会は増えているように感じます。
鳥類調査はこれまで経験がなく、声だけとか、姿が見えても一瞬だけ、それも逆光で色が良くわからないなど、植物にない難しさがありますが、トレーニングして識別能力を身につけたいと思います。
固定標準地調査シーズン真っ盛りです。どのような木がどれくらいあって、どれくらい生長しているか5年間隔で測定しています。夏は樹木の活動期なので肥大生長が落ち着いた時期に行います。
季節は巡り、気づけばすっかり秋色の森になっていました。落葉してしまうと見通しはいいのですが、樹種や生死が分かりにくくなるので注意が必要です。
調査データは以前は紙野帳に記載していましたが、この数年は現地でタブレットに入力しています。野帳担当者は森の中にいるのに、ほとんどタブレットとにらめっこ状態。木の状態を見たり、調査漏れがないか確認するため意識して視線を上げるのですが、ナンバーテープにピントがすぐに合わないことに老化を感じます。
最近の調査スタイルはこれ。ヤッケに長靴、ゴム手袋、ヘルメットに虫よけネット、そしてマスク。色々なものから身を守らなければ山に入れません。
特に今激しいのがアブの襲来。一番暑くなるこの時期だけなのですが、ゴマフアブというアブが大量に発生しており、油断しているとすぐ噛まれます。写真では伝わらないのですが、恐らく数百匹にたかられています。苦手な人はパニックになること請け合い。
早く涼しくなってほしいです。