北海道研究林では研究補助として定期的に渓流水の採取を行っています。
渓流水中に含まれる成分を測定することで窒素など生態系内の物質循環を調べたり、生物由来のDNAをもとにどんな生物がいるか知ることができます。
気候変動や植生の変化も水質に影響を及ぼしうるものですが、それを把握するには長期にわたるモニタリングが必須です。20年以上継続している調査もあり、今後の研究活用が楽しみです。
北海道研究林では研究補助として定期的に渓流水の採取を行っています。
渓流水中に含まれる成分を測定することで窒素など生態系内の物質循環を調べたり、生物由来のDNAをもとにどんな生物がいるか知ることができます。
気候変動や植生の変化も水質に影響を及ぼしうるものですが、それを把握するには長期にわたるモニタリングが必須です。20年以上継続している調査もあり、今後の研究活用が楽しみです。
2021年植栽のクリーンラーチ(カラマツ×グイマツ雑種F1品種)の試験地で下刈をしました。
苗木が下草との競合に負けないよう草刈機で刈払います。個人的な話、下刈り鎌と呼ばれる、長い鎌を使ったことも高校の実習で一度だけあります。
繁茂する下草を除去するので作業のシーズンとしては夏の暑い時期となります。新植地で木陰がないため熱中症のリスクが高く、さらにマダニ、スズメバチに刺される、刃物での怪我といった危険性もあり、草に隠れた苗木を誤伐しないよう神経を使いながら行う(この現場は苗木が大きいので誤伐リスクは低いです)下刈は林業の中でも過酷な作業といえます。
一斉造林で植栽された木が主伐を迎える造林地が多くなる中、機械化が進んできている伐木造材作業に対し、下刈はまだ人の手による部分が多く、造林分野での担い手不足が課題となっています。機械の開発や苗木の植栽方法、地拵えの方法、初期成長の早い品種の開発など省力化に向けた試験が各所で行われていますが、現場に導入されるまではまだ時間がかかりそうです。兎にも角にも、記録的な猛暑の中、今日も下刈をした皆さま、本当にお疲れ様でした。
2月20日に実習の下見を行いました。
最初は風が冷たく感じましたが、日差しがあり気温も高めで昨年の下見より歩きやすい状況でした。
山スキーで歩くため積雪状況と、出てくる樹木などを確認しました。
日当たりのよい斜面は雪がなくなってしまっていましたが、山スキーで歩く予定の林道は
20~30cmほど積雪があり、問題なく歩くことができました。
暖かい日、寒い日があるので、実習に来られる学生さんは
温度調節ができるような服装の準備をしたらよいかと思います。
6月に白糠区で開催した初夏の花観察会プチフラワーソン2023(報告へリンク)で、参加者の皆様に採取してもらった植物のさく葉標本を作製しました。
観察会当日は採取して新聞紙に挟んでもらい、ラベルを書いてもらうまでを体験していただいたのですが、その後、新聞紙を交換しながら乾燥と整形をし、台紙に貼り付け、データを登録して、整理して収納し、ようやく一連の処理が終わりました。
すでに標本としては存在する種もあるのですが、徐々に劣化もするので適宜新しいものを入れる予定です。標本は現在ここに存在した世界を次世代に伝えるバトンにもなります。変わりゆく環境を紐解く一助になるかもしれません。
白糠区での天然林調査を行っています。
森林の動態と多様性維持機構の解明のため、20年前に谷から尾根にかけて設定された3.6haの調査区内の樹木の樹種と直径と位置を調べています。
傾斜は標茶より厳しく崩れやすいため、緊張感もあり心身ともに疲れがたまるのですが、先日の調査は気候が良く、オオモミジやハウチワカエデといった紅葉も美しく、いくらか疲労も軽減されたような気がします。
多くのスタッフによって支えられ、長い期間続けられてきた調査です。個人的には15年ぶり。うまく成果につなげられるよう、できるだけの努力をする所存です。
2020年にカラマツを皆伐した伐採跡地の再造林を行いました。
今回はカラマツ×グイマツのF1雑種を1,600本/haの密度で0.75haの面積に植え付けています。もとは12.66haという大きな造林地だったのですが、少しずつ伐採、再造林して林齢の異なる林分を造成していく計画です。
森林管理という仕事に携わりながら、植栽の経験が豊富とは言えないため、植栽の手順や方法など相互に意見交換しながらの植え付けとなりました。皆伐跡地ということで日陰がないため、暑いとしんどいのですが、この日は冷たい風が吹き、作業する分には快適でした。
今後しばらくは下刈や獣害(エゾヤチネズミ・エゾシカ)対策が必要となります。学生実習や研究に生かせるよう、しっかり管理、記録をしていきたいと思います。
標茶区は冬に土壌が凍結します。凍結すると水分がより深い土壌中から氷に引き寄せられます。
春になると凍ってカチコチだった路面が表面から解け、さらに冬の間の積雪が融解することで、たっぷりと水を含んだ路面はとても緩くなり、春の大型連休あたりまで車両の通行ができません。
緩んでいた路面も落ち着いた様子だったので、例年より若干早いですが林道の巡視に行きました。
冬の間の強風や着雪によって発生した倒木や、無数にある落枝、林道に残されたシカの角を除去し、路面、路盤に異常がないかも確認しました。研究者や学生が安全に利用できるよう、受け入れの準備を進めています。
車に乗っては少し移動して降り、中腰で枝を拾っては路外に捨ての繰り返しです。室内仕事が続いて体がなまったところにこの作業。疲れがにじむ四十路の背中です。
そして、そんな作業をした翌日には得てして大荒れの天気になるものです。
3月8日・9日に標茶区にて令和4年度中国・四国・近畿地区大学附属演習林等技術職員研修が開催されました。各地の大学から計8名が参加しました。
1日目は標茶町博物館の見学と塘路湖周辺の散策、標茶区構内の見学を行いました。夕方には林長による概要説明と講義がありました。
2日目の午前中は山スキーを履いて冬の樹木識別を行いました。北海道研究林職員により、識別ポイントの解説を受けながら、冬芽や樹皮などを観察しつつ山スキーの体験をしました。冬芽による識別を新しく感じた受講者も多かったようで、各々吸収するものがあったのではないかと思います。
2日目の午後には積雪調査とスノーシューを履いての樹木識別を行いました。だいぶ暖かくなってきており、はっきりとした層の違いを見ることはできませんでしたが、調査の方法や雪崩の起きやすさとの関係などを学びました。
各大学の技術職員が集まることで、情報交換も行われ、お互いに実りある研修となったのではないかと思います。
標茶区のある北海道東部では季節凍土が発生します。
気温が低く、断熱効果のある積雪が少ないと、土壌の熱が奪われて地表面から徐々に凍っていきます。
土壌凍結の進み方を観測するためにメチレンブルー土壌凍結深度計を使用しています。メチレンブルー土壌凍結深度計は、凍結すると青から無色透明になるメチレンブルーの特性を利用したもので、地表下で0℃となっている面の深さを知ることができます。
現在の深さは約35cmで例年より若干浅めのように感じます。ちなみに今朝の最低気温は-18.1℃(ぬるい)、積雪は37cmでした。
凍結の進み方は気温だけでなく積雪状況による部分も大きいようで、年によって変動があります。まとまった雪が降る時期が遅れると凍結が進み、1月中の積雪が20cmに満たなかった2017年から2018年にかけての冬には56cmまで凍結していました。
森林域では土壌中の水分が凍ることで凍上が発生して植物の根がダメージを受けたり、樹木の水分通導を阻害したり、鉛直方向の水分の動態が変わることでそれに伴う物質循環に影響を及ぼすと言われています。
気候変動により冬期の気温が上昇したり、積雪の状況が変化すると季節凍土の発生状況も変化すると予想されます。それが森林の生態系にどういう影響を及ぼすのか、その指標とすべく、”しばれる”朝にも日々観測を続けています。
直営で進めているカラマツの皆伐も終盤に入ってきました。今は造材(材の太さや質を見て製品ごとに決まった長さに丸太をチェーンソーで切っていく作業)、はい積み(製品ごとに丸太を山にしていく作業)を行っています。
今年の事業地は63年生のカラマツです。胸高直径50cmほどの木もあり、立木1本で2t、玉切した丸太1本でも300kgを超えるようなものもあり機械の力が必須です。効率と安全性の両面で機械のオペレーターと作業者・指示者間のコミュニケーションが重要なのですが、今年導入した無線のインカムはストレスなく会話ができるので効果抜群です。ただ、無意識に発する「よっこいしょ」もばっちり伝えてしまうので注意が必要です。
研究林では齢級の平準化と資源の循環利用を念頭に、徐々に造林地の更新を図っています。皆伐跡地は学生実習での植栽を予定しています。
撮影は午後3時27分。刻々と日没が迫る中、夕日に照らされながら採材する様子です。働く男は絵になると思いますが、いかがでしょう。