沿革

上賀茂試験地は、1926年に大阪営林署より、京都府愛宕郡上賀茂村字上賀茂(現在の京都市北区上賀茂本山)の国有林の一部を買収し、京都帝国大学農学部附属演習林上賀茂試験地として設置されました。1949年進駐軍による接収に伴い、農林水産省より所管換えを受けて現在地に移転しました。以後、1950年の隣接地購入、1951年、1958年、2002年の所管換えを経て、現在の総面積は46.8haとなっています。


2003年4月、演習林(芦生、北海道、和歌山)、試験地(上賀茂、徳山、北白川)、瀬戸臨海実験所、亜熱帯植物実験所、ならびに水産実験所が統合し、京都大学フィールド科学教育研究センターが発足したのに伴い、現在の名称に変更となりました。

メタセコイアとラクウショウの気根


現在地への移転当初の目標は、外国産樹種の導入による樹木見本園の造成でした。そのために外国の植物園や研究所などとの種子交換により、マツ属を始めとする多くの樹種が集められました。1955年以降、タケ・ササ類に関する試験、マツ属の生育調査および交雑試験が行われましたが、1970年代以降は、マツ枯れ被害の増大に伴い、マツノザイセンチュウの研究や被害の抑制に関する研究、マツ属の生育に関する研究を中心に行われました。


現在は、樹木園および見本林園の再整備を進め、マツ属の成長量や気象の観測など基礎データを蓄積するとともに、二次林の成長量、植生変化についても調査しています。京都大学本部から北へ5kmと交通至便で、京都大学はもとより、他大学、他機関からも研究・実習フィールドとして広く活用されています。