「里山おーぷんらぼ フィールドガイド」について

1.里山おーぷんらぼの活動
 京都大学フィールド科学教育研究センターと公益財団法人イオン環境財団により、2022年度から「新しい里山・里海 共創プロジェクト」がおこなわれています。同プロジェクトの一環として、上賀茂試験地では「里山おーぷんらぼ」を2023年4月より毎月1回実施し、森・畑などで様々な活動をおこなっています。

2.フィールドガイドの作成
 里山おーぷんらぼの活動エリア内に、どんな樹木がどれくらい生えているのかを把握する植生調査を2023年10月おこないました。今後の里山づくりを考えるためにおこなった調査ですが、得られた結果を活かして、上賀茂試験地を訪れる人に向け、暮らしに関わる樹木を紹介するフィールドガイドを作ることになりました。

3.フィールドガイドの内容
 B3サイズのフィールドガイドの表面には上賀茂試験地、プロジェクトや「里山おーぷんらぼ」の紹介、および、連携している「工藝の森」の取組について紹介しています。また、裏面には、試験地内の道沿いに見られる暮らしとかかわる樹木の位置と各樹種の解説を記載しています。「里山おーぷんらぼフィールドガイド ~暮らしとかかわる樹木マップ」のPDFファイルはこちらです。

4.フィールドガイドの樹木に関する説明の補足
 フィールドガイド(裏面)の樹木に関する説明では、スペースに限りがあるため、必要最小限の内容を記載しています。以下では、マップに掲載した樹木について補足説明を記述します。
 なお、補足説明では下記項目を順に記載しました。まず、植物の名前を示した後に、その説明を記載し、最後に利用方法に関する5つのカテゴリーを示しています。
   ・[地図上の番号]植物の和名(和名の漢字表記 学名)
   ・植物やその利用方法に関する説明
   ・5つのカテゴリー
      【染めもの】糸や布の染料や媒染剤として用いられる
      【食】若芽や実を食べたり、葉を煎じて楽しむ
      【暮らし、家】生活用具や建築の材として用いられる
      【愛でる】美しい花や特徴的な花を愛で、楽しむ
      【祈り】神事・仏事、民間の信仰などの場面で使われる

  • [01] クリ (栗 Castanea crenata

     ブナ科クリ属の落葉広葉樹。九千年前から人々が好んで食べ、五千年前からは栽培もされていたことが、発掘された縄文遺跡からわかっている。木工材料としては水気や湿度に強いため、屋外で使用されるテラスやベンチなどに適している。山野に自生するものはシバグリ(柴栗)・ヤマグリ(山栗)。シバグリに比べて果実の大きなタイプは奈良・平安時代に現れたという。多くの品種があり、1940年代に国内で分布拡大したクリタマバチで一時減退したが、その後、抵抗のある銀寄等の品種が普及。
     【暮らし、家】

  • [02] クロバイ (黒灰 Symplocos prunifolia

     ハイノキ科ハイノキ属の常緑小高木。5月、小さな白い花を多く咲かせる。アルミニウムを含み、枝葉を焼いて得た灰汁は染色の媒染剤になる。乾いた葉から黄色の成分を得て菓子などを染める。幹を器具材として利用。ニホンジカが食べない種類で、試験地に増えつつある。
     【染めもの】【暮らし、家】

  • [03] クロモジ (黒文字 Lindera umbellata

     クスノキ科クロモジ属の落葉低木。日本固有の香木で、甘く清涼感のある香りが特徴的。枝葉を煎じて茶として愉しめる。茶道でお菓子をいただくときに用いる楊枝「菓子切り」には、古くからこのクロモジの枝が使われた。4月ごろに咲く黄緑色の花が可愛らしい。
     【食】

  • [04]ヒメコウゾ (姫楮 Broussonetia kazinoki

     クワ科カジノキ属の落葉低木。コウゾ・ミツマタ・ガンピは和紙の三大原料と言われているが、コウゾはヒメコウゾとカジノキの交雑によってできた雑種である。コウゾ同様、ヒメコウゾの樹皮でも和紙をつくることができる。赤い実は甘味があり食べられる。
     【食】【暮らし、家】

  • [05] コシアブラ (漉油 Chengiopanax sciadophylloides

     ウコギ科コシアブラ属の落葉小高木。大型の掌状複葉。透けるような黄白色(レモンイエロー)になって落葉する。若芽の採取時期は暖地が4〜5月、寒冷地や高山では6〜7月ごろまでが適期とされる。天ぷら、おひたし、各種和え物などにされる。昔、この木の樹液を漉して、槍や刀などの錆止め用の油として使われていた。
     【食】【暮らし、家】

  • [06] タカノツメ (鷹の爪 Gamblea innovans

     ウコギ科タカノツメ属の落葉高木。葉柄の先端に3個の小葉が直接つく(3出複葉)。秋には真黄色になって落葉。落葉は、カツラと同様甘い香りを発する。冬芽が鷹の爪に見えることからこの名前になったという。白くやわらかい材は、箱・しゃくし・はし・ようじなどに使用される。4~5月の若芽を天ぷらや和え物にして、香りと苦味を楽しむ。
     【食】【暮らし、家】

  • [07] ヒノキ (檜木/桧 Chamaecyparis obtusa

     ヒノキ科ヒノキ属の常緑の針葉樹。樹皮は赤褐色で、帯状に剥がれる。本州・四国・九州等で木材生産のため植林される。加工しやすく耐久性があるため、建材として利用される。千年以上法隆寺を支える材にも使用された。都の造営のために近畿各地のヒノキの大木が枯渇、鎌倉時代の東大寺再建の際には、遠く周防国から材を調達したという。上賀茂神社の社殿、清水の舞台などの屋根には、ヒノキの樹皮を用いた「檜皮葺」が施されている。お風呂、桶、まな板、枡、樽などの材料としても用いられる他、薫りを楽しむアロマオイルも製造されている。
     【暮らし、家】

  • [08] トチノキ (栃の木 Aesculus turbinata

     ムクロジ科トチノキ属の落葉高木。比較的冷涼な湿ったところを好む。掌状複葉というタイプの葉で、5~7枚の小葉と呼ばれる葉が集まり1枚の葉をつくっている。同じ掌状複葉のコシアブラと葉がとても似ており、どちらも高いところに葉をつけることが多いため、見分けが難しい。コシアブラは小葉に葉柄(葉の付け根の棒の部分)があるのに対し、トチノキはほとんど見えない。下から見上げて葉柄の有無で判別することが多い。また、ホオノキも見かけが似ているが、ホオノキの葉は1枚の大きな葉が枝先に集まっており、タイプが異なる。またトチノキの葉は鋸歯(フチのギザギザ)があるのに対し、ホオノキの葉は鋸歯がない(全縁)ことも見分けのポイントである。
     初夏には白地に基部が赤い小花が円錐状に集まった花をつけ、ハチミツもよく採られている。
     9月ごろにつけるクリのような実は、アク抜きをして栃餅や栃の実せんべいとして加工される。栃餅は日本全国多くの山村で作られており、京都府内では綾部市・南丹市などが有名である。多くの山村では救荒食物として栃餅が作られていた。
     【食】【暮らし、家】【愛でる】

  • [09] ウワミズサクラ (上溝桜 Padus grayana

     バラ科ウワミズザクラ属の落葉高木。白い小さな花が房状にたくさん咲く。軽くねばり強い材は、建材、彫刻細工、版木、道具の柄などに利用される。ツボミを塩漬けにして食べたり、さくらんぼを漬けた果実酒として楽しむ地域がある。古代の占いで鹿の肩甲骨や亀の甲羅を焼くために使用された。
     【食】【【暮らし、家】【愛でる】【祈り】

  • [10] サンショウ (山椒 Zanthoxylum piperitum

     ミカン科サンショウ属の落葉低木。花期は4〜5月。雌雄異種であり雌株は実がなる。春先の若芽は「木の芽」、6月頃の緑色の実が「青山椒」、完熟した実が「実山椒」で共に佃煮や煮物に使われる。また、花は花山椒と呼び佃煮に使われる。粉山椒は、未熟の青い実を乾燥させたり、完熟の実の皮が使われる。名の由来は辛い山の椒(椒=辛味)。
     完熟の実はヤマガラの好物。中国原産の「青山椒(タンジャオ)」は違う種類のため、混乱しないように注意が必要である。
     【食】

  • [11] ヒイラギ (柊 Osmanthus heterophyllus

     モクセイ科モクセイ属の東アジア原産の常緑樹。古くから「魔除け」として利用されてきた植物。季節の変わり目である節分には鬼や魔物が侵入しやすくなると信じられ、この頃に鰯の焼いた頭の臭気とヒイラギのトゲトゲした形状で邪気を払う「柊鰯」と呼ばれる風習がある。
     【祈り】

  • [12] ムベ (郁子 Stauntonia hexaphylla)

     アケビ科ムベ属の常緑のつる植物。葉柄先端に5~7枚の小葉が放射状につく(掌状複葉)。ムベは常緑でアケビは落葉のため、ムベの方が葉ががっちりしており、葉が厚めで、葉の触り心地はツルツルの革のような質感で気持ち良い。他方、アケビの葉は若干ざらつく。葉の色はムベのほうが緑が濃く、アケビは薄緑である。ムベの方の葉は細長い楕円形で、アケビの葉は丸みを帯びることが多い。
     秋にアケビに似た実をつけ紅紫色に熟すが、アケビのように裂けることはない。
     滋賀・蒲生野へ狩りに訪れた天智天皇が、8人の息子をもつ元気な地元老夫婦から無病長寿の果物として献上されたという伝説がある。
     【食】

  • [13] タラノキ (楤木 Aralia elata

     ウコギ科タラノキ属の落葉低木。葉は二回羽状複葉といい、幹から枝のように出ている部分全体が1枚の葉である。葉の付け根に上向きの鋭いトゲがある。成長が早く、開けた明るいところを好む。
     初春の未熟な新芽はタラの芽として有名で「山菜の王様」と呼ばれ、よく食べられている。しかし、幹には棘があるため、触るときには注意が必要である。トゲがほとんどないものはメダラと呼ばれ、食用に栽培されている。
     【食】

  • [14] ヤブツバキ (藪椿 Camellia japonica

     ツバキ科ツバキ属の常緑樹。照葉樹林の代表的な樹木。園芸品種は庭木として植栽。椿が名所の神社寺院が各地に見られる。
     冬~春、紅色の花びら5枚で咲き、花弁と雄しべが一緒に落ちて散る。秋に丸い果実が熟し、裂けて種子が出てくる。種子を圧搾して食用油・髪油を得る。堅い材は細工物に。古くは、紫根染や麹菌育成のときに椿の灰が活用された。
     ヤブツバキの送受粉は、鳥類によりおこなわれるため、分厚い花弁と多量の蜜を持つ。里山では園芸品種との交雑が進んでいるという。
     【染めもの】【食】【暮らし、家】【愛でる】

  • [15] シキミ (樒 Illicium anisatum

     マツブサ科シキミ属の常緑小高木。サカキが神道との関わりが強いのに対して、シキミは仏教で使われる。鹿も敬遠するほどの毒が強い(全体が有毒で、特に実は劇物で死亡の可能性がある。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている)
     独特の強い香りは邪気を払うとしてお香の原料としても使われる。名は「悪しき実(あしきみ)」からきたという。
     【祈り】

  • [16] サカキ (榊 Cleyera japonica

     モッコク科サカキ属の常緑小高木。鳥や恐竜の爪のような形の新芽が特徴。古くから神事に用いられる神聖な木で、「神様と人の境にある木」という意味の『境木(さかいき)』から転じたという。日本列島では本州の茨城県・石川県以西、四国、九州、沖縄に分布する。
     【祈り】

  • [17] コナラ (小楢 Quercus serrata

     ブナ目ブナ科コナラ属の落葉高木。別名ハハソ。秋に長さ15~ 20mmの楕円形のドングリが実る。
     材は薪になる他、炭の原料となる。また、シイタケ栽培の原木に利用される。伐採した切り株から芽を出し(萌芽)、早く成長する幹が利用される。各地で被害拡大してきた「ナラ枯れ」による樹木枯死は京都市内の全域に広がっている。
     【暮らし、家】

  • [18] アカマツ (赤松 Pinus densiflora

     マツ科マツ属の常緑針葉樹。赤い樹皮が特徴。尾根筋などの乾いた痩せ地でもよく見られる。材は、建物の梁など建材として使用される。火付きがよく、火力の強い薪になる。五山の送り火ではアカマツの薪を使用。マツ林の落ち葉・枯れ枝・松かさは暮らしの中でよく利用されていた。落ち葉かきや柴刈り、枯れ枝の処理をしなくなったマツ林はマツタケが採れなくなった。
     【食】【暮らし、家】

  • [19] コバノミツバツツジ (小葉三葉躑躅 Rhododendron reticulatum

     ツツジ科ツツジ属の落葉低木。花は紅紫色。4月上旬に一斉に開花する紅紫色の花が春の到来を感じさせる。五山送り火の「法」周辺など、京都には名所が多数ある。時に庭木や公園樹に用いられる。
     鞍馬の火祭りの松明に使われてきたが、近年は獣害や山の手入れ不足などにより、調達が難しくなっている。
     【愛でる】

  • [20] ナツハゼ (夏櫨 Vaccinium oldhamii

     ツツジ科スノキ属の落葉低木。5〜6月頃に花をつけ、球状の果実をつける。秋には紅葉する。鮮やかな色彩と甘酸っぱさから果実酒やジャムに利用される。ジュースとするためには、多数の実が必要である。疲労回復、生活習慣病予防、老化防止など健康効果が高い。
     古名を金漆(こんぜつ)とも呼び、昔この木の樹脂が塗料としてウルシのように使用されていた。 
     【食】

  • [21] シャシャンボ (南燭・小小坊 Vaccinium bracteatum

     ツツジ科スノキ属の常緑小高木。アセビに似た花が咲く。葉の裏の主脈(真ん中の一番太い葉脈。中肋(ちゅうろく)とも呼ぶ)の真ん中あたりに、所々突起があるのが特徴。ブルーベリーと同じスノキ属の樹木で、秋に実る甘酸っぱい果実を食べることができる。
     【食】

  • [22] ヒメヤシャブシ(姫夜叉五倍子 Alnus pendula

     カバノキ科ハンノキ属。北海道・本州・四国に分布する落葉低木。枝から垂れ下がる卵形の果穂がタンニンを多く含み、黒色の染料として利用される。空中の窒素を固定する放線菌と共生し、葉の窒素含有量が多く光合成の能力が優れていることから、ハゲ山の再生や林道造成後の植栽に用いられる。
     【染めもの】

  • [23] クチナシ(梔子 Gardenia jasminoides var. jasminoides またはGardenia jasminoides

     アカネ科クチナシ属の常緑低木。秋になるオレンジ色の実は、発色の良い黄色に染まるため、草木染めに使用される。栗金団や沢庵など食品の安全な着色料としても使われる。また、止血や解熱の作用があり、生薬や漢方の原料にもなる。美しい白い花が咲くので、庭先の観賞用としても人気。クチナシは、ジンチョウゲ・キンモクセイと並び三大香木の一つとされ、強く甘い香りを放つ。
     【染めもの】【食】

  • [24] モチツツジ (黐躑躅 Rhododendron macrosepalum

     ツツジ科ツツジ属に属する半落葉の低木。春に葉がでて冬には落葉する春葉(しゅんよう)と夏に葉がでて冬を越す夏葉(かよう)がある。春葉は光合成をたくさんするため大きめで薄く、夏葉は寒さに耐えるために小さくちょっとがっしりしているという特徴がある。京都では年中葉を付けていることが多い。5~6月に薄紫色の花が咲く。葉や茎がネバネバしている。粘つくのは虫から蕾や未熟な実を守るための防御で、この時期にだけ萼や新芽の腺毛から粘液を出す。多くのツツジの園芸品種が作られている。うっそうとした森では光が足りず、花を咲かせないため、花を楽しむためには、里山の適切な管理が大切である。
     【愛でる】

  • [25] クサギ(臭木 Clerodendrum trichotomum var. trichotomum または Clerodendrum trichotomum

     シソ科クサギ属の落葉低木。秋になるとブルーの実をつけ、それらが美しい水色に染まるため、草木染めに使用される。葉に独特の臭いがあることからクサギと呼ばれるが、実は和ハーブのような香りであまり臭くない。花はいい香りである。
     切り開かれた場所にいち早く入り込む陽樹(パイオニア植物)である。
     【染めもの】

  • [26] マグワ(真桑 Morus alba

     クワ科クワ属の落葉広葉樹。日本では絹の生産のために飼育するカイコの餌として、全国規模で広く栽培されていた歴史を持つ。養蚕用のため中国より移入され、広く栽培されるようになった。日本には在来のヤマグワがある。
     また、木材や茶道具としても高級材として使用される。葉はカイコの餌だけでなく、お茶としても親しまれ、果実は甘く栄養価が高いため、食用としても重用されてきた。
     【食】【暮らし、家】

  • [27] クロミノニシゴリ(黒実の錦織木 Symplocos paniculata

     ハイノキ科ハイノキ属の落葉中低木。5月ごろに10mmほどの小さな白い花をつけ、秋には紺色/黒色の実をつける。ハイノキ科の植物は灰にすると酸化アルミニウムを多く含み、染色では鮮やかに発色させたり色を定着させる媒染剤となる。京都府レッドデータ絶滅寸前種。
     【染めもの】

  • [番外] ミツバアケビ (三葉木通 Akebia trifoliata
     アケビ科アケビ属の落葉性つる性木本。葉は3出複葉で小葉は3枚。小葉が5枚のアケビと異なる。ミツバアケビはアケビと交雑することが多く、その子供はゴヨウアケビと呼ばれる。葉の枚数はゴヨウアケビは3~5枚。ミツバアケビの葉には鋸歯(縁のギザギザ)が出ることが多いのに対し、アケビはほとんど全縁(ギザギザがない)。交雑個体のゴヨウアケビは鋸歯が出ることが多い。アケビみたいだが、鋸歯がある面白い特徴を持つ。
     秋に実る果実は縦に裂ける。果肉と3~4月の若芽が食される。しなやかで丈夫なつるは、かごを編む材料として用いる。東北地方など店に並べられる地域もある。アケビの食べるところは皮で、果皮に挽肉を詰めたり、細く切って炒めるなどして使うことができる。きれいな紫色が料理のアクセントになる。
     上賀茂試験地の道沿いでも見られる。
    【食】【暮らし、家】
      

5.フィールドガイド作成経緯と活用に向けて
 上述のようにフィールドガイドは「里山おーぷんらぼ」の活動の一環として作成しました。
 2023年10月13日・14日に植生調査を実施した後、11月・12月にかけて結果をとりまとめる作業を進める中で気運が高まり、道沿いを歩きながら暮らしに関わる里山の樹木に親しめるマップのようなものを作る企画がはじまりました。
 その後、年末年始にかけて、編集・イラスト作成等をデザイナーに依頼し、フィールドガイドを作成するミニプロジェクトが本格化しました。
 2024年1月13日(里山おーぷんらぼ)において、デザイナーからのラフ案を前に協議し、マップに掲載する樹種を選定しました。樹木の説明をらぼメンバーが分担執筆し、他の解説部分を教員や関係者が記述し、全体でのチェックを何度かおこなった後、印刷データを作成しました。その後、植物に詳しい方からのコメントを受けて、一部修正を反映させ、3月中旬にデータを完成させて、入稿。3月下旬に納品されています。
 「里山おーぷんらぼ」関係者が協議したり、関係する方々からの助言を得つつ、作成した成果物ですが、今後活用を進める中でブラッシュアップできればと考えております。ご覧いただいた方、ご利用いただいた方からのご意見・ご感想をお待ちしております。
 ご連絡先は tanaka.takuya.7x*kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてお送りください。)

【参考】「新しい里山里海共創プロジェクト」について
 京大フィールド研および公益財団法人イオン環境財団により2022年度から「新しい里山里海共創プロジェクト」を推進しています。本プロジェクトでは、森里海連環学に基づく新しい里山・里海の共創に向けた教育・研究・社会連携活動を進めています。
 新しい里山・里海の多様なあり方を提案し、里山・里海に関わる地域の方々が、研究者等と協働しプロジェクトから得られる科学的な知見を活用して、自立的・持続的な活動を共に創り出せるシチズンサイエンスの場となることを目指しています。
 里山はかつて私たちの暮らしに必要な資源を調達する場でした。近年、人と里山のつながりが薄れ、里山の風景が失われたり、生物多様性が低下してきています。このプロジェクトでは、21世紀の私たちの暮らしにあった新しい里山の利用方法を、研究者と市民の皆さんが共に考え創り出す活動を進めていきます。
 プロジェクトの詳細や活動については下記サイトをご覧ください。
 新しい里山里海共創プロジェクト